今回は、「助動詞 + 不定詞」という場合の代名詞の位置です。
「どうしたら問題が解けるか知りたい ? " Tu veux savoir comment résoudre le problème ? " 」ときかれて、
「そりゃ知りたいよ」と言うのであれば、" Evidemment, je veux le savoir." 。
「レポートを終えなくちゃ… "...je dois finir le rapport" 」と覚悟を決めたところで、もう一度、自分に言い聞かせる ( ? ) と、"Oui, je dois le finir." 。代名詞は、不定詞 ( 動詞 ) の前に来ます。意味的にも、代名詞は助動詞よりも動詞と近い関係にあるのですから、当然といえば当然でしょうか。
© Maestro 2, Editions Asahi
今週は『Le chapeau de Mitterraind ミッテランの帽子』です。
フェリックス・ロブリジョワ広場 la palce Félix-Lobligeois のカフェで、ファニーはペンを走らせます。懸賞小説の筆は進みます。
思いかえせば、エドワードは男性用の帽子がきっかけで妙な勘繰りをはじめました。一方のファニーは、知りもしない帽子の持ち主の話しをでっちあげました。帽子のおかげで、二人のあいだは、ようやく落ちつくべき所に落ちついたのかも知れません。ファニーは小説の中に安堵、不安、悲しみ、ノスタルジー・・・いろいろな気持ちを込めました。そして決末は、「大役を果たしてくれたこの帽子を町のどこかに置いていく」という筋書きにしました。
ここでふとファニーは考えます。自分も本当にこの帽子をこの町のどこかに置き去っていったら…と。
いつしかファニーの傍らにはジプシ―の女性が立っていました。あなたの未来を見てあげよう、と言います。結構、とフアニー。しかしジプシーは、「その帽子は自分のではないね」と見抜きます。ジプジーは、カフェの店員から追い出されますが、「とても力をもった男性のものだ」「あなたはその男を知っている。誰もがその男を知っている」と言い残していきました。
カフェを出たファニーはモンソー公園へ。小道に並ぶベンチの一つに帽子を置き、自分ははす向かいのベンチに腰をおろしました。しびれを切らしたころ、ようやく一人の男性が腰をおろします。そして帽子をながめます。奇妙なことに、手をのばしたかと思うと、帽子をうら返して、鼻にもっていきました。匂いをかいでいるのでした。男はほほえみ、帽子とともに去って行きました。
ファニーにとっては、全てが終わたことを実感した瞬間でもありました。公園を出るとヌーヴェル・オプセルヴァトゥール誌の巨大な広告がファニーの目にとまります。黒のフェルト帽をかぶり赤いスカーフをした大統領の大きな写真でした。さきほどのジプジーの言葉が、真実味を帯びて、よみがえってくるのでした。次回は、p60 の " Citron de Sicile, bergamote, mandarine verte, tangerine, cyprè ... " からです。
© " Le chapeau de Mitterrand ", Antoine Laurain, J'ai lu