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2020年8月4日

初級

今回はブルターニュ西北のペロス・ギレク Perros-Guirec を訪れます。このあたりの岩はピンクをおびているのだそうです。そのピンクの花崗岩の海岸 la côte de granit rose を散歩したら、アンヌさんたちはご両親宅へ向かうようです。

食卓には海の幸が並ぶことになっているとか "On va préparer des plateaux de fruits de mer" 。帰りがけにカキを養殖している知り合い un ostréiculteur のところに寄って、ついでにパン屋さんにも行って…。買うのはもちろんカキにぴったりのセーグルのパン pain de seigle です !!

© Esplanade 2 Editions Asahi

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中級

Le racisme raconté
à ma fille

今回のタイトルは『 Discrimination raciale 人種差別 』( 重いテーマです …)

テキストでは、「移民」というレッテルが、フランスで日常的に差別を引きおこしているということが述べられていました。しかしこれはフランスという対岸だけで起きていることとは思えません… … …。

Tahar Ben Jelloun ( タハール・ベン・ジェルーン ) は、ゴンクール賞を受けたことのあるモロッコ出身の作家ですが、彼には " Le racisme expliqué à ma fille " という本があります。日本語版のタイトルは『娘に語る人種差別』註 1。その邦訳の目次 (一部) をちょっと覗いてみましょう。

「ねえパパ、「人種差別」って何?/「優れている」ってどういうこと?/私も人種差別主義者になるかもしれないと思う?/「異なる」って?」

註 1 : 『娘に語る人種差別』 松葉祥一訳、青土社、1998年、2017年(新版)刊

1998年版

© A la page 2020    朝日出版社


上級

今週は " Pierre et Jean " です。

ジャンは母親の肩に触れ、からだの向きをかえました。母親は枕で目も耳もおおったままで、声をあげぬようその枕をかみしめていました。どれほどつらいのか、手足がふるえています。そのかすかな震えがなければ息絶えた人のようでした Elle aurait semblé morte si tous ses membres n'eussent été parcourus d'un frémissement presque insensible... 。母親のあまりにいたましい姿に、ジャンはただ母さんと呼びかけるばかりです。が、突如として、母親は堰をきったように慟哭し、力を失った指から枕が落ちていきました。

しばしの後、母親は体をおこして声を振り絞るように、ピエールの語ったことは真実であると伝えます。そしてこれ以上あなたの母親としていることはできないと言い残して去ろうとします。が、ジャンはおしとどめます。無理やり押しとどめられた母親の顔面は蒼白です。「今日あなたは私を許してくれたけれども、明日には私を許さない ...Tu m'a pardonné ce soir...tu ne me pardonnerais pas demain 。今あなたは泣いているけれど、明日には私を追い出すはず Ce soir tu pleures, et demain tu me jetterais dehors 」と言い、なおも立ち去ろうとします。次回は Il répéta, en l'étreignant : -Maman, ne dis pas ça... からです。

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2020年8月11日

初級

© Ecomusée
催物のポスター

ブルターニュ地方をぐるりとめぐってきましたが、再びレンヌに戻ってきました。郊外にある l'Ecomusée を訪れます。16世紀から今日までのブルターニュの農業を知ることができ、動物とも触れあえる博物館だそうです。

100ヘクタールの農地には、ウシ、ロバ、ヤギ、家禽もいれば、生まれたばかりのヒツジも...il y a des agneaux nouveau-nés …。お母さん豚にぴったりくっついている子豚もいます...il y a des cochonnets qui se collent à leur maman。お腹がすいたアンヌさん、リンゴの木の下でピクニックをするようですヨ...on va faire un pique-nique sous les pommiers

© Ecomusée

© Esplanade 2 Editions Asahi

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中級

今回のタイトルは『 Tokyo 2020 』。2020年に開催されるはずだったオリンピックがテーマです。テキストはコロナウィルス ( Covid-19 ) の流行の前に書かれましたので、だいぶ事情が異なってきてしまいました。

最近の新聞などのタイトルを拾ってみると…BBCのフランス語版は les Jeux olympiques seront "simplifiés" en 2021 ( 2021年のオリンピックは簡素化で開催 )

モントリオール・ジャーナルは "COVID-19: les JO de Tokyo seront annulés s’ils ne se déroulent pas en 2021, admet Bach ( 再度の延期はなしとバッハ会長 )"、ユーロスポーツ紙は " Les JO de Tokyo soumis à la découverte d'un vaccin contre le Covid-19 ?( オリンピック開催はワクチンの開発次第か )

© A la page 2020    朝日出版社


上級

身をやつして
イタケーもどったユリシーズ

今週は " Le chien " です。遺稿の続きです。

収容所を去ることになった私達は、再び雪の平原を歩かされた。倒れて息絶えるものもいた。そんななか、ある時突然、犬が吠えながら私をめざしてかけてきた。私はひざまずいて両手を広げた。犬は飛びこんできて私をこれでもかというほどなめた。収容者たちは私たちをどんどん追いこしていったが、私と犬は声をあげて喜びあった。

とり残されるわけにはいかず、列に追いつこうと私が歩きだすと犬もついて来た。夜、犬は丸めたからだを私にピタリとつけて寝た。温かかった。犬の頭をなでる手にも温かみがつたわった。

『ユリシーズの涙』
ロジェ・ガルニエ著

「おまえの名前をアルゴスにしよう。ユリシーズの犬もアルゴスといったんだ」。アルゴスはそれが自分の名前であることをすぐに理解した。

アウシュビッツからナミュールにもどるまで、長い道のりだった。赤十字の仮施設や限られた交通手段をたよりに移動させられた。チェコ、ルーマニア、ブルガリア、トルコ、シチリア…と戦禍で荒廃した土地を中継せねばならなかった。この間、アルゴスは私から片時も離れなかった。

劣悪な生活と不安のなかで私達は互いの存在から生きる力を得ていた。私はアルゴスと、そしてアルゴスは私と、私達は共に生きることしか望んでいなかった。次回は Même affamé, Argos attendait... からです。

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2020年8月18日

初級

ファー・ブルトン

今回は最後の課 !! の練習問題。

質問が満載でした。例えば、"Parmi les spécialités bretonnes, qu'est-ce que tu préfères ?"(ブルターニュの特産品でいいと思ったものは ? ) "Quels sont les endroits les plus impressionnants en Bretagne ?" ( ブルターニュで一番印象に残ったところはどこ ? ) "Y a-t-il des endroits que tu douvrais visiter la prochaine fois ?"( 次に来るとしたらどこを訪れる ? )

カンペールの陶器

そういえばアンヌさんのご両親宅によばれたときに、家族からきっと質問ぜめにあうわよ "Comme ils ont tous curieux, je pense qu'ils vous poseront beaucoup de questions!! "と、釘をさされていましたっけ… 。

© Esplanade 2 Editions Asahi

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中級

今回のテーマは、誰もが知っている "Qui ne connait(1) pas son nom aujourd'hui?" フレデリック・ショパン。なかなか素敵なテキストでした。

ショパンは20歳で、生地のポーランドを離れ、亡くなるまでフランスにとどまったそうです。パリではバルザック Balzac、ベルリオーズ Berlioz、ドラクロワ Delacroix、リスト Liszt そしてジョルジュ・サンド George Sand と多くの親交をもちました。身体が弱く、結核で早逝" Chopin, qui avait une santé fragile, est mort prématurément de la tuberculose" 。ペール・ラシェーズ墓地に埋葬されたそうです。

© DEA / A. DAGLI ORTI
DeAgostini - Getty

35歳にはフランスに帰化していたそうすが、自身はポーランド人であると言っていたそうです。時には彼がフランス人なのか、ポーランド人なのか…そんな議論があるようですが、国籍はどうでもよさそうです"...la question de la nationalité polonaise ou française de Chopin est-elle si importante ? Sans doute pas" 。ショパンの音楽は国境を越えていますから ネ …。

(1) 2016年のつづり字改定により、connaître は connaitre と、アクサン・シルコンフレクスがなくなりました。

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上級

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今週は " Pierre et Jean " です。ジャンと母親のロラン夫人との対話です。

もうあなたを見る勇気も、抱きしめる勇気もないの… 一時は情にほだされても...tu es attendri, mais qund ce sera passé...、じきにあなたもピエールと同じ目でわたしを見ることになる… 私自身あなたをまっすぐに見ることができない… ピエールには気の毒だったけれど、ピエールの気配を感じるたびに、私は拷問を受けているようだった…。

そういう母親の一言一言に、ジャンは、自分は母さんが思う以上に母さんが好きなのだから ...je t'aime plus que tu ne crois, va, bien plus, bien plus..."、出ていかないで欲しいと訴えます。それでも母親が首を横にふると、ジャンは、それなら僕は軍隊に入って戦死を遂げるまでだと告げます si tu pars, je m'engage et je me fais tuer。母親には、これが子供じみた脅しにも聞こえましたが、ジャンを抱きしめずにはいられませんでした。

母親は、昂ぶる気持ちをおさえて、ジャンを制止しながら語りはじめます。あなたに許しを請うつもりはない… 私がしたことを正面から受け入れて欲しい… あなたがロラン父さんの子供ではないという世間の言葉にたいしては、自分を恥じないでほしいし、私をさげすんでほしくはない… ...il faut que tu te sentes assez fort ...pour te dire que tu n'es pas le fils de Roland, sans rougir de cela et sans me mépriser... 世間から見れば、私はマレシャルの愛人だったけれど、心から愛していたし、亡くなった今も愛している、恥も後悔もない… 
次回は"Ecoute, mon petit, devant Dieu qui m'entend, je n'aurais jamais rien eu de bon..." からです。

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2020年8月25日

初級

今回は、テキストのエピローグ Épilogue「その一か月後… un mois plus tard」です。案内役をかってでてくれたアンヌさんからの絵葉書きです。

文面によれば、珍しいことにレンヌの町に雪が降ったとか。外出もままならないので、ちょうどいいとばかりに、終えねばならなかった論文を書いているそうです "...il a neigé à Rennes...J'en profite donc pour écrire mon mémoire "。

このアンヌさん、どうやら次の夏には日本にくるとか...je prévois d'aller au Japon...。再会を楽しみにしつつ、ブルターニュ地方の旅を閉じることとしましょう !! 次回からはルーヴル美術館を訪れます。どんな絵に出合えるのかこちらも楽しみです。

© Esplanade 2 Editions Asahi

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中級

今回のテーマは、新しくなった正書法 La nouvelle orthographe です 。

1990年、フランス語高等評議会 le Conséil supérieur de la langue française ( CSLF ) は、従来の綴りにみられた不規則性をとりのぞいて、より一貫性のある簡素な綴りを提唱しました。5000 の単語が改変されました。従来からの綴りを使い続けることはできますが、2016年以降の教育現場では新しい綴りが基本になります。 この改変のための作業は、カナダやベルギーなどのフランス語圏とも歩調をあわせておこなわれたそうです。 カナダのサイト ( オタワ大学 ) でもこんな新正書法の案内がありました。一部ですが、いくつか例をひろってみると…

♠ e と i につくアクサンシルコンフレクスは排除 ( 例外あり )
août ⇒ aout,
apparaître ⇒ apparaitre
♠ 数字はトレデュニオンでつなぐ
deux cents ⇒ deux-cents,
trois cent quarante-cinq mille ⇒ trois-cent-quarante-cinq-mille
♠ [ɛ] と発音される é は è とつづる  ちなみに é は [ e ] と発音される
événement ⇒ évènement,
céleri ⇒ cèleri


© A la page 2020    朝日出版社


上級

今週は " Le chien " です。

人と食べ物を分け合うなどということは、以前の私にはとても考えられないことだった。しかし私はアルゴスと食糧を分け合った。アルゴスが私に寄せるてくれる信頼が、私をそうさせた。

多くの帰還者は、もしかしたら家族と再会できるかもしれないと夢を抱いていた。しかし私はそんな希望はとうに捨てていた。

私は故郷のナミュールについた。かつて家族と暮らしていたアパルトマンのドアの前に立った。夢は捨てたはずだったが、奇蹟がおきるかもしれないと心臓が破裂せんばかりに波打った。知らない女性が顔を出した。不機嫌そうなその女性の背後に、男と子どもが見えた。壁紙、カーテン、家具はかつてのままだった。住む人だけが変わっていた。フロアを間違えました、と言って私は去り、その言い訳をとり繕うように上階に住むパスキエ夫人を訪れた。

夫人は驚きをかくせず、「あなたなの、あなたなの ?」と問い、私を抱いた。私達は泣いた。父、母、姉、祖父が生きていたとしたら、私が生還したことをこんな風に喜んでくれたに違いないと思った。

それからの数週間というもの、パスキエ夫人は私のためにありとあらゆることをしてくれた。住い、食事、身なり、そして高校に通える手続き…。命の恩人のアンドレ神父とも引き合わせてくれた。

しかしこの二人の恩人にどうしても従えないことが一つだけあった。アルゴスだ。二人は、自分たちが食べていくのに精一杯な時に、犬を養うのは常軌を逸していると嘆いた。私は自分が飢えても、どんなにわずかな食べ物でもアルゴスと分ける、と答えるしかなかった。次回は p84 Moi je ne voulais plus entendre parler d'échelle entre les êtres vivants.

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2020年8月