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2020年7月7日

初級

今回訪れるのは ブラパールのモン・サン・ミシェル Mont Saint-Michel de Brasparts です。かのモン・サン・ミシェル Mont Saint-Michel とは別物 !! 400m そこそこの高さの山ですが、眼下には湖が望めます。ただしこれは人工湖。

もともとは沼地 zone de marécage で、地獄の門があるらしいのです…。おそろしい伝説も残っているとか。はてどんな伝説なのか…来週を楽しみに

© Esplanade 2 Editions Asahi

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中級

今回は新しいテキストの第1課、タイトルはフランスの標語 La devise de la France です( 前回と似た内容になってしまいましたネエ)

テキスト冒頭、こう書かれてありました。"La devise...' Liberté Égalité Fraternité ' ...apparait(1) au XVIIIe siècle. C'est le siècle des Lumières. 三部会のような身分制の議会が世の中のもろもろを牛耳っていた時代に、これを変えていこうという知的営みと人々の抵抗とが、自由・平等・博愛という3対の言葉 triptique を生み出したということなのでしょうか。ロベスピエールが最初につかったのだそうです。

ところでテキストによると、「博愛」を「連帯 solidarité 」という言葉に変えようという意見も出ているとか。博愛は、自由と平等とはことなり、法にしばられません。なので社会法などで用いられている連帯の方が標語にこのましい…ということのようです。また日本語訳ではピンときませんが、Fraternié は血縁や信仰的な帰属意識が含意されているので、連帯の方がふさわしいという考え方もあるようです…。

こちらは子供新聞による解説です。

(1) 2016年に、つづりの改定がなされ、i と u につくアクサン・シルコンフレクスは原則として省略することになったそうです

1942年ヴィシー政権の時の硬貨
標語は労働・家族・祖国

© A la page 2020    朝日出版社


上級

今週は " Pierre et Jean " です。

ジャンは叫びます。「こうなったのも兄さんの自業自得だ。最後まで言う…tu m'en(de 'dire sa pensée entière') donne l'occasion, tant pis pour toi。兄さんは、まるで人を軽蔑するようにふるまってきたが、本当は僕を妬んでいたからだ Tu feins de me mépriser parce que tu es jaloux...。僕に遺産がころがりこんでからは、周囲に毒をふりまき、ことさら母さんを苦しめた...maintenant que je suis riche,...tu es devenu venimeux, tu torture notre mère... 」。

ピエールが答えます。「父親とは言えない男から遺産をうけとるなどあり得ないことだ。金に目がくらんで家族をおとしめたのはお前だ ...toi...qui nous as tous déshonorés, par ta cupidité 。…誰がお前の本当の父親なのか世間はとっくに知っている」と。

ジャンはしばらくは、このことばの真意を理解できませんでした。ようやくのこと「だまれ。…母さんがとなりの部屋にいるじゃないか。聞こえたら…」とピエールを制止しますが、もはやピエールにはこれまで抑えこんできた思いを閉じこめておくことはできませんでした。ジャンの存在も母親の存在もすべてをわすれて Il semblait maintenant avoir oublié Jean et sa mére dans la pièce voisine 、すべてを吐きだします。そうする自分自身を嫌悪しながらも、これまでふたをしてきた膿はしぼりだすしかありませんでした...。すべてを語りおえたピエールは自分をののしりながら去っていってしまいました。次回はLe bruit de la grande porte de la rue,... からです

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2020年7月14日

初級

前回は、アレ山々 les Mots d'Arré の人工湖には、地獄の門があるという話しでした。この人工湖には アンクー Ankou という「死」の従者がいて、死者の魂をカマで切りつけて荷車にのせ、地獄の門へつれていくのだとか。こうして死者は悪魔にひきわたされるのだそうです "Il vient chercher les âmes des hommes décédés et les emmène à la porte de l'enfer pour les remettre au diable "

しかしアンクーには、一人だけ悪魔にひきわたすことができなかった死者がいるそうです。ジャック・オ・ランタンです。生前に悪事をはたらき地獄にも行けなかったために、行燈をもってさ迷い歩くはめになったとか。この行燈、ハロウィンでお馴染みになっているようです(?)…。

ところで人工湖の畔にみえる建物は、1980 年代に完全停止になった原子力発電所。テキストのアンヌさんの言葉を引用します。Lorsque je suis ici, je ne peux pas m'empêcher de penser au drame de Fukushima. Pour vous, Japonais, en regardant cette ruine abandonnée à l'entrée de l'enfer, à quoi pensez-vous? どう考えるか、私たちは案内役のアンヌさんに答えないといけませんね。

© Esplanade 2 Editions Asahi

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中級

今回の第2課のタイトルは、「Cent-millions de touristes en France en 2020 ? (2020年には観光客を1億人 )」。

テキスト曰く、「海外からの観光客がこれまで以上に来てくれれば結構なことだが、長く滞在してもらえればなお結構 Accueillir plus de touristes internationaux, c'est bien ! S'ils séjournent plus longtemps..., c'est mieux ! 。パリ、コートダジュール、ロワール河沿いの城だけでなく、地方にも行ってもらいたい…。パリの観光客はニューヨークやロンドンほど、お金を使ってくれないので ...les visiteurs étrangers dépensent moins d'argent à Paris que (à)...New York ou Londres 、これは挽回する必要あり…。とにかく 2020年には、1億人の観光客をめざすが、2020年がだめなら2024年のオリンピックがある "...cent-millions de touristes,...ce sera...pour 2024 avec l'organisaton des Jeux olympiques à Paris !! 」と、意気軒高なテキストでした。

とはいうものの、このテキストが出されたのは、COVID-19 の感染が拡大する前のこと。大きな軌道修正を余儀なくされています。

経済のみを優先し過熱する
ツーリズムは surtourisme と呼ばれます

© A la page 2020    朝日出版社


上級

©Dreamstime

今週は " Le chien"、サミュエルの遺稿のつづきです。

「兵士たちが鉄条網越しに雪の球をなげると、犬はもんどりうって球をとらえた。しかし雪の球はすぐにくずれてなくなるので、犬はもう一回投げてと言わんばかりに吠える。この繰り返しだった。兵士たちは笑いながら犬と遊んでいたが、やがて鐘がなり犬をのこして持ち場に去っていった。

囚人が鉄条網のそばに近づくのは不用意なことだとは分かっていた。しかし私は犬の方に向かった。すわりこんでいた犬は尻尾をふり、満面の笑みをみせた。私はおもわず雪をまるめて投げた。犬は、軌道をえがいて飛んでいく球めがけて全速疾走し、飛びはね、雪をくだく。そして私の方に向きなおり、再び弾むようにして球を追いかけた。

©Dreamstime

やがて私の膝ががくりとおれた。私は雪のなかにひざまずき、体を二つに折った。熱い涙が私の頬をながれていた。頬が裂けるような熱い涙だった。私が泣いたのは一体何年ぶりか。喜びの涙だった。顔をあげると犬がじっと私を見ていた。私は微笑みかけたが、犬には分かりにくい答えだったようだった。腰をおろしたまま両耳をぴんと立てるのみだった。

私は犬のすぐそばまで歩み寄った。犬が鉄条網越しに鼻をつきだした。私の手のひらに温かい犬の息がかかり、湿ったやわらかい鼻先が私に触れた。私は犬にありがとうと言った。兵士が去った後、犬は、その兵士らとなんら変わることなく、私がなげる雪を追いかけた。犬は私と兵士を区別しなかった。犬が喜んでくれている様をみて、私はふたたび自分のなかに人間を見いだした。」

次回は p70 の Oui, dès qu'il m'avait regardé avec le même intérêt...からです。

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2020年7月21日

初級

J.Prévert

今週はブルターニュ西端の港町ブレストにやってきました。そのブレストでの とある情景から生まれた詩 " Barbara " を読みました。ジャック・プレヴェールの詩です。

雨のブレスト…(詩の行をバラバラにしてしまいますm(__)m)。「私」は若い女性とすれ違いました。雨にうたれているのに 輝くようにほほえむ女性。
雨宿りをしていた青年が「バルバラ ! 」と呼びます...un homme... s'abritait et... a crié ton nom 'Barbara'...。女性は青年の胸に飛びこんでいきました。
「私」はこの二人とは二度と会うことがありませんでしたが "...je ne les ai vus qu'une seule fois..."、この女性を思いうかべながら語りかけます。
"思い出してごらんよ、バルバラ Rappelle-toi Barbara 。あの日、雨のなかでぬれていたのに本当にうれしそうに歩いていたね… tu marchais souriante...ravie...sous la pluie" と。
しかし時と共にあの雨のブレストはすっかりその姿を変えます。その後のバルバラとあの青年はどうなったのか…。

次回は詩の後半を読みます。

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中級

今週は、「パン屋さんは週に一日は店を閉めなければいけません」というアレテ (知事命令 : arrêté préfectoral relatif à la fermeture des boulangeries )をめぐるお話しです。

このアレテが定められた背景は、小さなパン屋さんと大きなパン屋さんとの間の不公平を是正しようということだったようです。一人で店を切り盛りしている場合、その一人が週休をとると店を閉めざるをえません。ですが交代できる職人さんがいればお店は開けつづけることができます。これでは不公平…というので定められたようです C'était pour le principe d'égalité 。

けれど施行されてみると問題もでてきたようです。観光地のパン屋さんは、観光シーズンにはずっと開店していたいことでしょう。またパン屋さんが一軒しかない村と、ブロック毎に店のある都市とでは、週一回の閉店の意味合いはちがってきそうです。という訳でなかには、このアレテを廃止した県もあるそうです ...certains départements l'ont abrogée... 。

© A la page 2020    朝日出版社


上級

今週は " ピエールとジャン Pierre et Jean " です。

ピエールは去っていきました。ジャンはようやくのこと放心状態から覚めますが、なにをどう考えればよいのか。まずピエールが妬みから虚言を吐いたのでは、と疑ってみましたが Il essaya de douter d'abord. 、あのピエールのしぼりだすような言葉、絶望にくれた所作を思い起こせば、ピエールが真実を語っていたことに間違いありません Jean gardait dans l'oreille...certaines paroles...des geste de Pierre, si douloureux qu'ils étaient... aussi irrécusables que la certitude

あたりはふかい静けさに包まれています。となりの部屋からは物音ひとつ聞こえません。まさか母さんが窓から身を投げたのではと思うや Si elle s'était sauvée...elle avait donc sauté de la fenêtre dans la rue ! 、ジャンはドアをおし開けます。母親はベッドに横たわっていました。耳を閉ざすように、こわばる手で顔に枕をおしあてていました Sa mère étendue sur sa couche, la figure enfouie dans l'oreiller qu'elle avait ramené de ses deux mains crispées sur sa tête, pour ne plus entendre 。次回は "Il la crut d'abord étouffée. ..." からです。

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2020年7月28日

初級

Brest

今週はJ.プレヴェールの詩 Barbara の後半です。

ブレストの町に静かに降る雨は、やがて火をふく鋼の雨にかわりました。軍港のブレストを血にそめる雨でした。

君はどうなっただろうか、バルバラ Qu'es-tu devenue maintenant 。そして兵士になったに違いない君の恋人は。

すべてが破壊されたあとに tout est abimé 喪の雨がふり、そして空には雲だけが…。どこかへ流れて消える雲は、さまよって野たれ死にする犬のよう…ブレストにはもう何も残されていません。

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中級

自由の女神の手

今週は、第4課 『自由の女神 La statue de la Liberté 』です。確か以前にもこちらで自由の女神の話しがでましたネ。

アルザスの女の子
アルザスのプロシア
併合を悲しむ像

作者のバルトルディはたくさんの彫刻をてがけています。威容をほこる像や大義をかかげたような作品がおおくありますが、その一方で小さな女の子や女性・お年寄りの像もあります。オセアニアやアフリカの人の彫刻もあれば、未開拓のアメリカをえがいた絵もあります。

ブドウ栽培の労働者

こちらでバルトルディの美術館をバーチャルで訪れることができます。

©Photos Christine DUMAS
L'Est Républicain

© A la page 2020    朝日出版社


上級

今週は " Le chien " です。遺稿の続きです。

「私は犬に話しかけ、犬は私の目を見つめていた。気持ちが落ち着つくと、犬がやせこけていることに気づいた。あばら骨が皮膚をおしあげていた。「私にはどうしてあげることもできない」と語りかけた。しかし犬の瞳は、私がいくつもの奇蹟をおこせる人間だと信じている瞳だった。

この日まで私はわずかなパンのために争い、死人の持ちものをあさっていた。しかし次の昼食で、私はだされたインゲン豆を布につつみ、ふたたび鉄条網に戻った。私に気づいた犬は尾をはげしくしふり、だされたインゲンに飛びついた。インゲンは一瞬で消え、他には ? と顔をもたげる犬に、これ以上何もないんだと説くよりほかなかった。

逃げるように小屋にもどった私は、なぜ犬のために危険をおかすのか、なぜわずかな食事をわけあたえるのか、後悔ともつかない自問をしていたが、同時にそんな自問と関係なく、自分でも知らぬうちに鼻歌をうたっていた。周囲の囚人はとうとう気がふれたと思ったようだったが、私は毎日、鉄条網に通いつづけた。

そして誰にも信じられないことが起きた。ソビエト軍によって収容所が解放された。予兆はあった。夜中の車の騒音、所内の設備の大移動、去っていく兵士…。ソビエト兵は、収容者の 人とは思えぬ姿におののき、解放された私達は喜びも感謝の気持ちもあらわすこともできずにいた。ソビエト兵が食糧庫を解放した時、私達は初めて生気をとりもどし、食糧をむさぼった。食べることを中断させられたら…とそれを恐れるばかりで、食べる喜びはなかった。

夜、私はテリーヌをもって鉄条網にむかった。犬はいなかった。呼びかけても出てこなかった。解放され自由を得た日だというのに、私は悲しかった。次回は p75 "Cependant, je m'apitoyais sur un chien errant..." からです。

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2020年7月