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2020年9月1日

初級

アングルの『泉』

今回から新しいテキスト『ルーヴル美術館にて』を読みます。第一課はアングル Jean Auguste Dominique Ingres の " Source 泉" です。

アングルの
『海から上がるヴィーナス』

この絵は現在はオルセー美術館に所蔵されています。ですので以前にもう一つのテキスト『オルセー美術館にて』を読んださいに同じ絵をみたと思います。その時の記録はこちらです。

ところでモントーヴァン Montauban の町にはアングル美術館があります ( 彫刻家のブールデルの作品も展示されているそうです )。100年戦争のときに建てられた建物 !! を改修したのだそうです。こちら ☟ は新たに開館した時のビデオです ( フランス語 ) 。



© Au Musée du Louvre, Editions Asahi

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中級

© Ouestfrance
親戚に囲まれて祝福を
うける男性カップル

今回のタイトルは『同性愛者の権利 Les droits des homosexuels 』です。

フランスでは18世紀末まで、同性愛者は法律で罰せられ死刑にかけられることもあったそうです"...jusqu'à la fin du XVIIIe, l'homosexualité était un crime passible de la peine de mort" 。偏見や迫害の対象となることもあれば、精神を患っていると見なされることもありました。WHO でも 1993年5月まで同性愛を精神病のリストに加えていたそうです "Il faudra attendre mai 1993 pour que l'OMS(l'Organisation Mondiale de la Santé) ne considère plus l'homosexualite comme une maladie mentale "(© Lumni.fr)

パリ市庁舎に掲げられた
Homophobie 反対の幕

しかし1999年に、PACS という法律が成立。同性のカップルは届け出をだすことで法的な保護をうけられるようになりました ( PACS については以前にもこちらで触れました ネ )。ただしPACS はあくまでも婚姻外の関係にとどまるものでしたので、これを改め2013年には同性カップルの結婚が可能になりました。このことで親族関係が生じ、養子縁組などで子供を持つこともできるようになりました。現在は、女性カップルが人工受精 (PMA : Procréation médicalement assistée 生殖補助医療 ) によって子供を持つことができるようにする法案が審議されているようです。

とはいえ、こんな風に法律や制度が改められてきているのにもかかわらず、同性愛を嫌う風潮 ( homophobie ) は根強く、同性愛者に対する暴言や暴力が増え続けている "...les propos, les insultes et les agressions homophobes augmentent " とテキストは述べていました。

© A la page 2020    朝日出版社


上級

今週は " Pierre et Jean " です。

ロラン夫人がなおも息子のジャンに語りかけています。

「あなたの本当の父親がマレシャル氏であることがわかった今、マレシャル氏への思いを私と分け合って欲しい、それができないのなら私はここに残らない Si tu ne veux pas, si tu ne peux pas, adieu, mon petit,...」と夫人。「母さん、残って Reste, Maman 」とジャン。

夫人の思いはジャンには伝わりました。しかしピエールは…? 真実を見抜いたピエールの存在が、夫人にとっては針のむしろでしがありません。夜が更けていました。ジャンは、夫人をロラン氏とピエールのいる自宅に送っていきました。まんじりともせずにいたピエールの耳に、夫人の帰宅する音がとどいていました Seul dans la maison, Pierre ne dormait pas et l'avait entendue revenir

ジャンは自分のアパルトマンにもどります。体も心も力を失っていました。兄のピエ―ルの苦しみと悲しみを思わずにはいられません ...les chagrins et les soucis (de Pierre) agissant diversement sur sa (Jean) nature somnolente, lui cassaient les jambes et les bras 。ジャン自身、自分の出生を今日のような状況でなく、別の形で知ったとしたらどうだったろうか。ピエールと同じように母に怒り、失望し、煩悶したのではないだろうか…そう自問しますS'il eût appris de toute autre manière le secret de sa naissance, il serait assurément indigné et aurait ressenti un profond chagrin

とはいえ受けたショックがあまりに大きすぎました。そもそもジャンは事を荒立てたり、何かにあらがうことを好まない性格です。事実を事実として受け止めるより仕方ありません。

ただしそうは言ってもこれから厄介な状況になることは目にみえていました。次回は Il les présentait inévitables...からです。

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2020年9月8日

お休みにさせていただきました m(__)m

2020年9月15日

初級

フラゴナールの『エテュード』

今回の絵はフラゴナール Jean-Honoré Fragonard の" エテュード l'Étude " です。

前回の絵とおなじく若い女性ですが、こちらは神話ではなく実物の描写 "Voici encore un portrait de jeune fille. Mais ici c'est une scène réaliste "

フラゴナールの『音楽』

手前には本が…。何をおさらいしているのでしょう。勉強の本でしょうか、それとも楽譜… "Est-ce ... un livre de classe? ou une partition de musique ? " 顔が輝いています "Le visage de la jeune fille raynonne" 。画家の手にかかると、喜びの瞬間がこんな風に消えることなく永遠に残るのです ネ   "Le peintre fixe sur la toile un moment de joie "

© Au Musée du Louvre, Editions Asahi

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中級

© THOMAS COEX,AFP
足場が組まれたノートル・ダム

今回は第10課、タイトルは『パリのノートル=ダム大聖堂 Notre-Dame de Paris 』。

フランス革命の後、ノートル・ダム大聖堂は荒れ果て "Après la Révolution, Notre-Dame était délabrée"、解体の危機にありました。これを憂えたヴィクトル・ユーゴーは、ガジモドやエスメラルドで知られる小説『ノートル=ダム・ド・パリ』を著し、その成功が聖堂を解体からすくいました。

実際、V・ユーゴーはこの小説に先だって "Note sur la destruction des monuments en France (フランスの歴史的な建物の崩壊について)", "Guerre aux démolisseurs (解体者に告ぐ ( 宣戦布告? ) )"を公表しています。歴史的な建物が次々と壊されていくことを惧れてのことだそうです。

ところで2019年にノートル=ダム大聖堂が火災にあったのち、ユーゴーの『ノートル=ダム・ド・パリ』がふたたび多くの人に読まれたそうです。ル・モンド紙によると出版社のGallimard 社は本の売り上げ 4万ユーロ を修復工事のために寄付したとのことでした "Victor Hugo rapporte 40 000 euros aux travaux de Notre-Dame ( le Monde, 2020年9月19日 )"

©Patrick Zachmann, Magnum Photos
工事現場で公開されたマグナム(1)
による「修復現場の職人」写真展

註(1) マグナム Magnum : ロバート・キャパやアンリ・カルティエ=ブレッソンなどがつくった写真家グループ

© A la page 2020    朝日出版社


上級

今週は " Pierre et Jean " です。

今の兄の気持ちを思うと、この先一体どうなるのか…ジャンは頭をかかえます。そもそもジャンの生業は弁護士。自分でも気づかぬうちに顧客の相談にのるかのように、兄のピエールのこれからを考え始めます Malgré lui il en envisageait les suites à un point de vue presque professionnel 。とはいえ満足のいく解決策はみえてきません...il médita,...sans trouver rien qui pût le satisfaire

そんなおり、ふと自分はマレシャル氏の遺産を受けとってはいけないのではないかとの思いがわきます。法律のうえではマレシャル氏は自分の父親ではないのです。遺産をうけないとすれば、新しく手に入れたアパルトマンも売らねばならないでしょう ...il vendrait son mobilier。しかたありません。それれで死ぬわけではないのですから...il n'en mourrait pas, après tout 。他の若い弁護士と同じように一生懸命はたらくまで…とあきらめの境地にいたります。

ひたいを窓ガラスにあててガス灯眺めると、通りを行く女性が…。ジャンははっとします。自分はロゼミリと結婚を約束した。自分が貧しくても彼女は受け入れてはくれるだろうが、そのような犠牲を彼女に強いていいのか Pauvre, elle l'accepterait encore ; mais avait-il le droit de...lui imposer ce sacrifice ? 。財産を受けとるのはうしろめたい、しかし自分には婚約者がいる…二つの思いが交錯しつづけます。最初の殊勝な思いを消すのに十分な理屈を見つけなければなりません。

そうしてとうとう膝を打ちます。「そうだ、いままで父さんと思っていた人は自分の父ではないのだから、その遺産を全て放棄して兄のピエールに譲ればいい...je renonce à l'héritage de ma famille,..je le laissse à Pierre tout entier...。そうすれば良心に恥じることなくマレシャル氏の遺産をうけとることができる。それで解決だ…」と。

しかし問題はまだありました。「母を苦しめるピエールが家族のなかに居続けることは避けなければならい。それをどうするか」。とおくで蒸気船の汽笛が鳴ります。ジャンにとって、この汽笛は啓示でした...le sifflet d'un vapeur...sembla lui jeter une réponse en lui suggérant une id'ée 。次回は Vers neuf heures il sortit pour s'assurer si l'exécution de son projet était possible." からです。

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2020年9月29日

初級

L'Angélus
現在はオルセー美術館所蔵

今回は 3 課。文法は前置詞のde や à が、定冠詞の le, les と並ぶと変形することや、venir, aller の活用を復習。本文はミレー Jean-François Millet の "晩鐘 l'Angélus " がテーマでした。

画面左から西日がさすなか、農夫婦が畑仕事の手をとめてアンジェラスの祈りをささげています( 朝昼晩と一日に 3 回 唱えられる祈りで、マリアの受胎が告げられたことを記念するものだそうです )。画面は静謐さに満ちている " Le silence domine cet espace..." ようにも見えますが、はるか遠くの地平線には教会の鐘塔が描かれています。ここから鐘があたり一面に鳴り響いているているのではないでしょうか。そんなことが書いてあるテキストでした。易しいフランス語で書かれてあるのに、とても素敵な絵の紹介でした。



サルバドール・ダリのL'angélus
© Salvador Dali
Fundacio Gala-Salvador Dali
Figueres, 2007 USA

© Au Musée du Louvre, Editions Asahi

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中級

今回は第11課、タイトルは『外国語の学習 L'apprentissage des langues 』。

SELO と称される学科が中学と高校に導入されたのは 1992 年。Les Sections Europeennes ou de Langues Orientales の略で、これによって欧州や東洋の言語を学べる授業が追加されました。欧州言語はドイツ語、英語、スペイン語、オランダ語、ポルトガル語、ロシア語、一方の東洋言語はアラビア語、中国語、日本語、ベトナム語です。言語学習にくわえて、数学や地理などといった教科をその言語で学ぶこともあるようです Ils ( les élèves ) étudient aussi des "disciplines non linguistiques" dans la langue de leur section 。文通をしたりホームステイをしたり…というプログラムも組まれているとか。

ちなみにたまたま見つけた日本の新聞記事(1)によると、日本の高校の 1000校以上 ( 高校総数は4887 校 ) が、英語以外のクラスを設けているようです。中国語、韓国・朝鮮語、仏語、スペイン語…など以外に、履修者数はすくないものの、タイ語やモンゴル語、ネパール語、アラビア語など18言語 !! も学ばれているとか。ズハラシイ…。

(1) 朝日新聞 2020年9月27日朝刊

© Ministère de l'Education
Nationale de la Jeunesse et des Sports

© A la page 2020    朝日出版社


上級

今週は " Le chien " です。サミュエル(エイマン) の遺稿の続きです。

パスキエ夫人とアンドレ神父は、この食べられない時代には、犬よりはまず人間だと説いた。しかし私は、人間に優劣がつけられ、「劣った者」が死んでいく様をこれでもかというほど見てきた。もう金輪際、生き者に優先順位をつけたくなかった。パスキエ夫人は、アルゴスが私にとって一匹の犬以上であることを理解してくれたようだった。

私は少しずつ日常をとり戻していった。が、やがて復讐をしたいという気持ちが芽生えてきた。高校に通うかたわら、私達を密告した者をさがし始めた。過去の記憶をたどり、当時の寄宿生を調べあげて、一人の青年にたどり着いた。マキシム・ド・シールだ。

アクション・フランセーズ紙

彼はなぜか私を最初からライバル視していた。私の耳もとで「いつかお前をつぶしてやる」とよく言っていた。私がユダヤ人であることを知ってからは、私の存在が唾棄すべきものになり、カテキズム(キリスト教の教えを説くクラス)の時には、ユダヤがいかにおぞましいかを滔々とクラスのまえで述べていた。アンドレ神父に逐一否定され、とがめられても、「神父のことは尊敬していますが、アクション・フランセーズ(1)にも優れたことを述べている人がいます」と答えていた。

アンドレ神父は時局をおそれ、表向きは私たちが村を離れたということにして、寄宿舎の上階の部屋に私たちをかくまった。しかし部屋の窓からは、マキシム・ド・シールがこの部屋を見上げて探っている様子がうかがえた。次回は " C'est court, vas-tu me dire, Miranda, pour accuser un homme." からです。

(1) アクション・フランセーズ : フランスの王党派組織。ペタン政権では対独協力を支持し活動した。

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2020年9月