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2021年4月6日

初級

今回はラファエル Raphël の『La belle jardinière 美しき女庭師 』のテキスト前半を読みました。

この絵でまず目に入るのは、3人の人物。聖母マリアと子供のイエス、そして小さな洗礼者ヨハネ。この三者がきれいな三角形を形づくっています "...on admire d'abord la composition triangulaire ...régulière que forment les trois personnages : la Madone, l'enfant Jésus et saint Jean-Baptiste" 。

聖母マリアは目を伏せ、足元の子を見つめています "La Vierge baisse les yeux sur l'enfant qui est à ses pieds 。この子はやがて30才になると福音を説きはじめるのですが A trente ans, il commencera à prêcher sa doctrine…、ゴルゴタの丘で磔刑にかけられてしまいす...il sera crucifié sur le Golgotha...。しかし彼は、その 3 日後によみがえることになるのです il ressuscitera trois jours après 。来週も続きを読みます。

© Au Musée du Louvre, Editions Asahi

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中級

壁画のある
証券取引所内部

今週は第 8 課『La mode française et sa tradition de mécénat ファッションとメセナの伝統 』です。

ディオール、シャネル、エルメス…フランスには沢山の名だたるブランドがありますが、こんにち、これらのブランドは、二つの大きなグループ企業の傘下に入っています。一つは LVMH ( モエヘネシー・ルイヴィトン社 )、もう一つは Kerling ( ケリング社 )。

街のブティックでしか手に入らなかった個性的な製品が、世界のいろいろな場所で手に入るようになったのも、これらのコングロマリットの事業展開があったからなのでしょう。しかしテキストではこんな指摘もありました。...le prix de cette stratégie de fusion, qui permet un marketing adéquat aux marchés globaux, est la dispartion des caractéristiques de chaque marque こうした統合という戦略は、広範な市場に適したマーケティングを可能にする一方で、その代価として、それぞれのブランドの個性を失わせてしまっている

展示場が加えられた
証券取引所内部の模型

ところで LVMH 社の取締役会長である ベルナール・アルノー氏は、メセナ ( 文化・芸術活動の支援者 ) としてルイ・ヴィトン財団を創設。現代芸術センターを建てました。一方 ケリング社の取締役会長のフランソワ・ピノー氏は、現代アートの著名なコレクター。 19 世紀の証券取引所を、建築家の安藤忠雄氏に依頼してモダンアート展示場に改装しました。


© Perpectives - l'actualité française en 12 textes    白水社

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上級

今週は "Pierre et Jean" です。

ロレーヌ号の出航当日について、ロラン氏は名案を思いつきます。まずはロレーヌ号の船上でピエールに別れを告げます。そしてすぐに下船して自分たちのパール号に乗りこみ先回りします。そうすればロレーヌ号が外洋へと出ていくところをもう一度、見送ることがてぎるというものでした。

* * * * * *

ピエールは一人、船室のベットに横になり、ここ数ヶ月の出来事を思い起こしていました。ピエールは苦しみ、傷つきました。そして周りの人も傷つけました。しかしそのあまりに激しい痛みが、今は摩耗してしまったかのように鈍くなっていました。 怒ることにも、憎むことにも疲れて、すべてが麻痺しているようで、いつしか眠りについていました。

一夜明け、いよいよ出航の日。ピエールは船長らにあいさつし船内をまわります。一等船室と豪華絢爛なホールをおとずれた後に、階下の船室に向かいます。移民であふれていました。貧しい生活を逃れ、新大陸に一縷の望みをたくして海を渡ることにした人々でした。見るのもつらい光景にピエールはすぐに上階にもどります。はやくもロラン氏ら家族が最後の別れにやって来ていました。ロラン夫人は黒い服に身をつつんでいました。ピエールは母の髪がすっかり白くなっていることに気づきます。次回は "Par la porte restée ouverte on voyait ..." からです。

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2021年4月13日

初級

今回はラファエル Raphël の『La belle jardinière 美しき女庭師 』のテキスト後半です。

この絵にはイエス以外にもう一人の子供が描かれています。洗礼者ヨハネです。ラクダの皮の服をまとい、地面に片膝をついてイエスを見上げています " Dans ce tableau, il y a un autre enfant vêtu d'une peau de bête, et qui regarde Jésus..."。これが洗礼者ヨハネです。のちにこのヨハネがヨルダン川でイエスに洗礼を授けることになります "Il ( Jean-Baptiste ) baptisera Jésus dans le Jourdain "。子供のヨハネは十字架をかついでいますが、これはイエスの死を予告しているのだそうです。


© Au Musée du Louvre, Editions Asahi

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中級

OIFサミット
2014年ダカール

今週のテーマは "700 millions de francophones en 2050 ( 2050年、フランス語の話者は 7 億人 ) !? " です。

フランス語は世界で5番目に多く話されている言語で、その数は 3 億人 (2018年)。テキストによると、人口増加にともなって2050 年には、7 億人になるという予想もあるようです。

OIFサミット
2021年チュニジア

フランコフォニーという語(1)は、ラルース辞典では「フランス語話者の総体 l'ensemble de speuples parlant lde français " 」と定義されているそうですが、詩人でセネガルの初代大統領であるレオポルド・S・センゴールはこのフランコフォニーの意味をもっとうまくつかんでいたようです。フランコフォニーは、「 ( フランス語という ) 一つの言語と一つの共通文化を分かち合おうという"意識" 」 Le poète et président du Sénégal, Léopold Sédar Senghor, en précise mieux le sens : la francophonie est la conscience de partager une langue et une culture commune" と述べたそうです。

フランコフォニーは l'OIF ( l'Organisation Internationale de la Franophonie ) という組織の名でもあります。加盟国は旧植民地のフランス語圏の国々が圧倒的におおいですが、それ以外の国や地域も参加しており、フランス語を契機としてつながり、協働しあう組織だとのことです。2年に一度サミットが開かれます。英国を中心とする Commonwealth ( コモンウェルス・オブ・ネイションズ ) との類似 ( や違い ) が論じられることも間々あるようです。


OIFサミット
2006年ルーマニア

(1)    フランスの地理学者オネジム・ルクリュOnésime Reclus の造語。1880年の著書『フランス,アルジェリアと諸植民地』で用いられた。


© Perpectives - l'actualité française en 12 textes    白水社

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上級

© O. Descaux

今週は "L'homme qui plantait des arbres" です。

私はブフィエ氏が強靭な意思の持ち主なのだと思っていましたが、氏の話しを聞くと、不運に見舞われたり、絶望したりしたこともあったようです。事実、せっかく植えた 1 万本のカエデがすべて枯れてしまったこともあったそうです。

氏はいつもたった一人で過ごしていました。ですので、晩年には言葉を失っていたように思います。もしかしたら言葉など必要ないと思っていたかもしれませんが…。

© O. Descaux

1933年には役人が、ご丁寧にもこの「自然林」が火事ならないよう火のあつかいに気をつけるようにとブフィエ氏に忠告しにきたことがありました。その数年後には、水源・森林管理局の役人やら議員やらが視察やってきました。口先ばかりで結局なにをするわけでもありませんでした (むしろ何もしてくれない方がありがたかったのですが) が、唯一、有益な決定をしてくれました。炭づくりのための木の伐採を禁止したのでした。

私には森林管理局長の友人がいました。私は彼に、どうしてこれだけの広大な森ができたか、その秘密を伝え、ブフィエ氏に引き合わせました。ブフィエ氏は植林の真最中でした。友人は森林に関して蘊蓄のある男でしたが、「誰よりも木のことをわかっているのはブフィエ氏だ」といって余計なことは口にしませんでした。

この友人のおかげで、3人の森林監視員が配置され、一帯の木々は伐採を免れることができました。ただし第二次世界大戦中は、木炭自動車が全盛で、木の需要がいくらでもあり、木々が伐られていきました。それでもブフィエ氏自身はそのような世事とはかかわりなく、30 km もはなれた地帯でただひたすら植樹をしていました。

私は 1920 年から毎年、ブフィエ氏に会いに出かけていましたが、1945 年が最後の年になりました。氏が 87 歳のときでした。この時、私は、はじめて来たときとおなじ道を通ってきました。きっと大きく変わっているだろうと予想はしていましたが、まさしく、見たこともない土地となっていました。次回は p49 の " En 1913, ce hameau de dix à douze maisons avait trois habitants... " からです。


© O. Descaux


© L'homme qui plantait des arbres par Jean Giono, Gallimard-jeunesse

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2021年4月20日

初級

C.コロー:モルトフォンテーヌの思い出

今回の絵はカミーユ・コロー Camille Corot の『Souvenir de Mortefontaine モルトフォンテーヌの思い出 』です。例のごとく、まずは文法のおさらいから。複合過去・半過去・大過去やら中性代名詞やら…しっかり復習いたしました !!

大過去は、ある過去のできごとよりも以前に起きたできごととに使われる動詞の活用です。以下、大過去のできごとは赤字です。


 Pourquoi ne t'es-tu pas levé ?
  --- Parce que le réveill n'avait pas sonné.
    どうして起きなかったの ?
    --- 目覚ましがならなかったんだもん
 J'avais trop mangé au déjeuner,
    du coup je n'ai pu rien manger au dîner .
    お昼、食べすぎちゃって、
     夕飯が食べられなかった


C.コロー:ナポリの浜の思い出


© Au Musée du Louvre, Editions Asahi

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中級

今週のタイトルは " IA ou IC ( AI それとも CI ) ? " 。人工知能 ( AI ) と集団的知性 ( CI ) とについてのテキストでした。

テキストによれば近年、集団的知性が多くの分野で、人工知能に代わって重要さを増しているとのこと "...l'intelligence collective s'impose alternativement de plus en plus dans de nombreux domaines..." 。この集団的知性は、少数の者が上意下達的に集団に広める知性とは異なるようです。自立した個々のメンバーが相互に情報をわけあい、違いを修正しあって、より高次な知性 (?) を生み出した時の、その知性を指すようです ( テキストをそのように理解しましたが、実は、今一つ内容が未消化であります… )。集団は閉鎖的であってはいけませんし、メンバーの考えが同質的 homogénéité d'idée であってもいけません。付和雷同も、「右へならえ」もいけないそうです。

集団的知性がうまく作用した分野は、サイバースペース。たとえば LINUX 。インターネット上で実現した集団的知性としては、ウィキペディアなどが挙げられるようです "...Wikipedia...est l'exemple classique d'une entreprise d'intelligence collective...( © https://pierrelevyblog.com/) "


© Perpectives - l'actualité française en 12 textes    白水社

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上級

今週は "Pierre et Jean" 。最終回でした。読了しました !

せまい船医室に一堂が会しました。しかし気まずさと沈黙がただようばかり。船室の窓やら薬の保管についてなど、たわいない話しをしたところで、ロレーヌ号出港の合図がでます。沖合でロレーヌ号を待ちうけて、もう一度ピエールに別れを告げるには、今すぐ下船せねばなりません "Il est temps de nous en aller si nous voulons embarquer dans la Perle pour vous voir encore à la sortie et vous dire adieu en pleine mer " 。ロラン氏が皆をせかす中、蒼白のロラン夫人はピエールに頬をよせて別れを告げます。

下船したロラン氏たちはさっそく小さなパール号に乗りこみ、櫂をこいで、ロレーヌ号が通過する航路を目指します。陸は見送りの人で一杯です。興奮したロラン氏が、ロレーヌ号がドックをでるぞ "...Roland s'écria : --- La voilà... Elle sort du bassin "、タグボートがロレーヌ号をひっぱっているぞ、と叫びます。

そのロレーヌ号がタグボートを切りはなし、ゆっくり大海をめざします。巨大な船体が小さなパール号にせまり "...la navire maintenant passait presque à toucher le Perle "、沖へと通り過ぎていきました。

ピエールは船尾に立っていました。目に涙をたたえたロラン夫人は、ピエールにむけて両手をさしだします。それに応えるようにピエールは母に、両手で最後の投げキッスを送るのでした。巨漢の船は刻一刻と小さくなっていき " Le paquebot...dimnuait de seconde en seconde..."、それとともにピエールも消えていきました "...il(Pierre) disparaissait...sur le gigantesque bâtiment" 。

一家は陸にもどります。帰路、ロラン氏は、ジャンとロゼミリ夫人が結婚することを知らされます。そりゃあ、結構々々と手をもむ氏。その傍らで、ロラン夫人はそっと海に向けて最後の一瞥をおくるのでした。= 完 =



© L'homme qui plantait des arbres par Jean Giono, Gallimard-jeunesse

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2021年4月27日

初級

C.コロー:モルトフォンテーヌの
思い出

今週はカミーユ・コロー Camille Corot の『Souvenir de Mortefontaine モルトフォンテーヌの思い出 』にまつわるテキストを読みました。

一つの文が長くて、しかも複雑…そんなケースがいくつかありました。例えば…

  • Ce site enchanteur d'étangs et de forêts, chargé des souvenirs de l'histoire de France, et qui avait inspiré le poète Gérard de Nerval, a laissé au peintre une profonde impression.
  • Si Corot vivait à l'écart des grandes idées qui passionnaient ses contemporains, il a consacré tous ses efforts à un travil subtil sur la lumière qui fait de lui un des précurseurs de l'impressionnisme.  確かに長い…
こんな時は文の「幹」 ( = 主語と動詞(と目的語) ) を見つけましょう。幹がみつかったら後は枝葉です。下の図は緑の部分が幹、その下に枝葉がぶら下がっています。(マウスをのせると少し大きくなります ( ブラウザーによっては大きくならないかもしれません…m(__)m ))。

© Au Musée du Louvre, Editions Asahi

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中級

マリーズ・コンデ:
2018年ニューアカデミー文学賞

今週のタイトルは "La France, grande nation littéraire ( 文学大国フランス ) " です。

1901年にノーベル文学賞を最初に受賞したのは詩人でフランス人のシュリ・プリュドム Sully Prudhomme 。以後今日までフランス人は 全受賞者 113 人中 15 人 を数えるのだそうです。かくしてフランスは文学大国である、というのがテキスト前半の要旨。後半は文学大国である理由です。

V.S.ナイポール:
2001年ノーベル受賞

16世紀は、「国」の成立と併せて、言語の統一がなされた時期。それまでのラテン語にかわって、フランス語が優位になります。次の世紀には、アカデミー・フランセーズが設立され、辞典が出されます。18世紀は思想家が輩出し、その啓蒙思想が海外へと伝播。というわけで、フランス語は明晰で美しい言語として、著者たちの考えを表すのに適した言語と見なされたとのこと ..."la langue française est vue comme une langue claire, belle et propre à l'expression...de leurs ( écrivaines ) idées "。

フランス語に習熟し自由に使えこなせるということは、複雑な現実をあらゆる側面からとらえる手段を手にしているということでもある (?!?)、とのことでした "Une bonne maîtrise de cette langue est ...perçue comme manière de comprendre la rélité dans toute sa complexité"

© Perpectives - l'actualité française en 12 textes    白水社

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上級

© O. Descaux

今週は "L'homme qui plantait des arbres" の最終章。嬉しいことに読了です !

© O. Descaux

私は、初めてブフィエさんと会った時とおなじルートをたどって歩いてみました。かつては、貧しい集落が点在しているだけのはげ山でしたが、その姿はもうありません。木陰を行けば水をたたえた水盤があり、4 軒だけながら若い家族の住いが建っていました。山脈の麓には、漆喰を塗った美しい家々の周囲に麦畑やら牧草地がひろがり、灌漑水もひかれています。

さらに行けば、いくつもの村で、笑いにつつまれた老若男女とすれ違います。

ブフィエさんのたゆまない努力は、何もなかったところに「カナン ( = 約束の地 ) 」を出現させました。私はブフィエさんに尊敬の念を抱かずにはいられません。1974 年、ブフィエさんはバノンのホスピスで静かに息を引き取とったそうです。

= 完 =


© O. Descaux


© L'homme qui plantait des arbres par Jean Giono, Gallimard-jeunesse

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2021年4月