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Article 9. Aspirant sincèrement à une paix internationale fondée sur la justice et l'ordre, le peuple japonais renonce à jamais à la guerre en tant que droit souverain de la nation, ou à la menace, ou à l'usage de la force comme moyen de reglement des conflits internationaux. Les hommes naissent et demeurent libres et égaux en droits.

かまくらフランス語教室

備 忘 録

Les hommes naissent et demeurent libres et égaux en droits.
かまくらフランス語教室 Article 9. Aspirant sincèrement à une paix internationale fondée
備 忘 録
sur la justice et l'ordre, le peuple japonais renonce à jamais à la guerre en tant que droit souverain de la nation, ou à la menace, ou à l'usage de la force comme moyen de reglement des conflits internationaux.

2024年4月2日

中級

ポール・エリュアールの『リベルテ』

今週も第 8 課 です。キーワード Mots-Cles のコーナーをみてみました。いずれのキーワードもランボーの『谷間に眠るもの』の詩と関係することばですが、今回もまたまたウ~ムと思わず腕を組む言葉がたくさんならんでいました。

" Le déserteur " はそのなかの一つ。Boris Vian の歌です。召集令状をうけとった青年が、大統領にむけて書いた手紙で、私は戦争にはいきませんと伝える手紙です Monsieur le Président je vous fais une lettre... Je viens de recevoir Mes papiers militaires Pour partir à la guerre...Ma décision est prise Je m'en vais déserter...

放送禁止の指定書

フランスはインドシナ ( ベトナム、ラオス、カンボジア ) につづいて、アルジェリアで戦争をしていました。そのときに書かれた歌詞でしたから、愛国心をそぐという理由でラジオでの放送が禁止されました la chanson est interdite de diffusion à la radio pour ' antipatriotisme' 。それにもかかわらず多くの人にうたいつがれている歌です。







© T'en penses quoi ? Editions Asahi

上級

今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ l'élégance du hérisson 』です。

前回は、「私」が俳句を書くだけでなく、「ヒトやモノの動き」を書きとめて『この世の運動日誌』をつくる決心をしたくだりでした。とらえどころのない精神的なものではなく、実際に手で触れことのできる物質や人体について、その美を追求して書き留めるのです。
どうしてそうしようと思ったかというと、テレビでニュージーランドのラグビーチームがハカを演じているのを観たからです。父はラグビーの試合となると、仕事のときとはうってかわって、ソファーにどかりと腰をおとし、靴を脱いで、ビールとソーセージを用意してテレビの前に陣取ります。これにあわせて、わたしも試合の中継をみました。そして心をうばわれたのでした。

* * * *

テレビのコマーシャルがようやくのこと終わり、選手たちがグラウンドに入ってきました。最初は、いつもと変わらないハカだと思っていたのですが、思わず息をのんでしまいました。一人のマオリの選手に目が釘づけになりました。その動作は他と比べようもないほど大きく、流れるような動きでありながら、強烈な存在感 une présence, une intensité incroyables をはなっていたのです。

* * * *

思うに、体の移動というのは、なにかに向う動きです。なにかに向かおうとすると、元の体勢はくずれはじめます。体はなかば元の位置にとどまりながらも、これから行く方向へと体勢をかえるのです。

もし元の体勢が崩れることを押しとどめたければ、なにかに向うことをやめるより他ありません。つまり身体をそのままの体勢に保持したければ、動くことを諦めるよりしかたないのです。

ややこしい言いまわしですが、なにかに向うということは、そういうことなのです。

ところが、あのマオリの選手は別でした。他の選手とともに、ハカを演じています。地面をはげしく打ち、腿をはたいています。しかしその動作で、彼の体勢が崩れることは一切ないのです。動きが彼の内部に凝集しているとでも言えばよいでしょうか。

次回は p41 の " Et du coup, le haka, qui est un chant guerrier, prenait toute sa force...からです。

© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard

2024年4月9日

中級

今週は第 9 課、タイトルは " S'entendre avec les autres 他者とわかりあう " です。

日本語が母語ではないお友達が転校してきたら…そういう設定のお話しでした。そんな子が、ボクのクラスにやってきて、先生の指示で、ボクのとなりの席にすわりました La maîtresse lui a dit de s'asseoir à côté de moi 。漢字が読めないというので、ボクは読み仮名をつけてあげることにしました (Je vais...) l'aider en lui écrivant la lecture des kanjis 。家も近いらしいので、週末に一緒に公園にいったり、家でおやつを一緒にしようとお母さんと話しあったのでした…。
と、こんな身近な「他者とのかかわり」のお話しでした。

最近たまたまレヴィ=ストロース著の『モンテーニュからモンテーニュへ』( ちくま学芸文庫 )を読みました。こんなくだりがありました。
「わたしたちが特定の文化に対して偏狭な判断をするのは、それがその文化の現実だからではなく、私たちの他者理解の根底に「自民族中心主義的なものの見方」がひそんでいるからなのです」と…。どきりとした次第です…

© T'en penses quoi ?     Editions Asahi



上級

今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
前回の話しは・・・。
学校の休み時間。マルケスはせっせと選挙運動にはげんでいます。それを見て、リュックは「僕たちも何かしなければ」と気をもんでいるのですが、「僕」には一向にその気がありません。大人になったら僕たちはどんな人になるのだろうか、何をするのだろうか・・・と僕は夢想ばかりしていました。

休み時間が終わって数学の授業が始まりました。しかし突如、教室の窓ガラスが吹き飛びます。先生が、校庭に避難するよう叫びます。他のクラスの生徒たちも集まっていました。校舎のガラス窓は全て割れていました。校庭のガスタンクが爆発したのでした。

* * * * *

校長先生のあわてぶりは大変なもので... la directrice était dans tous ses états... 、先生たちはなん度も生徒の数をかぞえていました。爆発があった場所には、炎が立ちのぼり、その炎の影が物置小屋の屋根の上でゆらゆらとゆれていました...elles ( des flammes ) grimpaient de plus en plus haut...on voyait leurs ombres danser sur le toit

その時、僕の目の前になんとイヴの影がやってきました。そしてその影にいざなわれて、僕は物置小屋のほうに向かいました。影はなおも僕をひっぱり、炎のけむりが立ちのぼる方へとつれていきます。歩くのが困難なほど、あたりは熱くなってきました。なぜ影は僕をひっぱっていくのか…僕にはそれがわかりました。ですから立ち止まるわけにはいきませんでした。

小屋の屋根に炎が移ったその時、英語のシェファー先生が僕を大きな声でひきとめました J'ai entendu Mme Schaeffer hurler mon prénom...me criait de revenir immédiatement 。先生は僕を追いかけてきました。耐えられないような熱さの中、僕は物置小屋のドアのノブに手をかけようとしていました。が先生が僕をおしもどし叱ります。でも僕もひけません。思わず先生にむかって「物置の中に用務員のイヴさんがいて、息をつまらせているんだ! 」と叫んでいました。

これを聞いて、シェファー先生は果敢にも物置小屋のドアを足蹴にし中に突入して、イヴさんの両肩をつかんでイヴさんを引きずり出してきたのでした... elle ( Mme Schaeffer ) en est resortie ...en traînant Yves par les épaules 。イヴさんはかけつけた救急車で病院に運ばれました。

この後、僕は校長先生に叱られたリ、褒められたり。そして消防隊長からは、からだに異常がないか調べられたうえに、将来、消防隊員になりたければ、大歓迎だと言ってもらったり…。

* * * *

次の金曜日、僕は学級委員選挙で一票をのぞく全票をかくとくして委員に選ばれました Le vendredi suivant, j'ai gagné l'élection du délégué de classe à l'unanimité, moins une voix 。もちろんその一票はマルケスが自分に投票した票です。リュックはなにも言わず、ニッコリと微笑んで喜んでくれました。

* * * * *

そして一週間が経ち、イヴが退院してきました。まだ頭に包帯をまいてはいます。まるで海賊のようですが、案外似合っています。元気そうでした。

次回は、p70 の " A l'heure de la cantine, je suis sorti avant les autres... " からです。

© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont

2024年4月16日

中級

レヴィ・ストロース著

先週につづき第 9 課の「S'entendre avec les autres 他者とわかりあう」です。キーワード Mots-Clés のコーナーではふたたび重い重いテーマに遭遇しました…。

たとえば " ヘイトスピーチ ( les discours de haine ) "、そして " la loi Gayssot ゲソー法 " 、さらには " Le postcolonialisme ポスト・コロニアリズム " などのキーワードです。

ゲソー法は 1990 年にフランスで成立した人種差別的言動を禁止した法律です。ヘイトスピーチは "le discours de haine designe un discours injurieux visant un groupe ou un individu sur la base de caracteristiques intrinseques ( ある人やある集団の特性をもとに、その人や集団を誹謗すること ) " です。とても悲しい言動だとおもいます。

キーワードとして、レヴィ=ストロースやエドワード・サイードの名前も挙がっていましたね。




エドワード・サイード著







© T'en penses quoi ? Editions Asahi

上級

今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ l'élégance du hérisson 』です。

前回は、中学生の「私」が思索を深めるために、人の身体の動きの美をつきつめていこうと決心したくだりでした。
「私」の父がテレビのラグビー戦の中継を見ようとしていた折、「私」もたまたまニュージーランド・チ―ムのハカを見ました。そして一人のマオリの選手のハカに眼が釘づけになったのでした。

そもそも「私」は運動についてこう考えています。運動とは、肉体や物体の構造の " 崩れ・解体 " なのだと。なにかに向けて、体が動けば、もとの体勢はくずれます。いわば身体は元の位置にとどまっていると同時に、完全にはその位置にとどまっていないという体勢なのです。「動」は体の本来の形をかえるのです。

* * * * *

ところが、あのマオリの選手は激しいハカを演じていながら、その動きに「解体」がありません。ハカは相手にむかって威嚇を示しているのですが、マオリの選手の動きは相手にむかってではなく、自らにその動きを集中させているのです。そして試合中にあっては、疾走しながらも動きと身体とが一体化しているのです。そのありさまを見て、私は、この世に " 不動の動き des mouvements immobiles " を見つけることができた ! この世はすてたものではない ! と思ったのでした。

ところが、ところがです。まさに私がそう思ったやさきのことでした。選手たちがモールを組んでいるときに、一人のフランス人の選手のショートパンツが脱げてしまったのです。観客も父も大笑い。涙をながして笑っています。私はがっかり。せっかく生きる曙光を見い出したと思ったのに…。

以上、「私」は真剣そのものなのですが、読者には、なにかしらはほえましい「私」のモノログでした。

次回は p44の " Je n'ai pas fait d'études, disais-je en préambule de ces propos ..." からです。

© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard

2024年4月23日

中級

今週は第 10 課の " Vivre à son rythme 自分のリズムで生きる " です。

南仏に休暇を過ごしにきたカップルの話しです。バスを待っているのですが、女性は、なかなかやってこないバスにイライラ。男性は「まあまあ、いいじゃない " C'est bon, détends-toi " 」と鷹揚にかまえています。

バスが来なければ、予約したレストランにまにあいませんから、女性のイライラはつのります。男性はべつの日に出なおせばいいじゃないとなだめますが、「とんでもない、何か月もまえから押さえて、ようやく予約がとれるかもしれないというレストランなのだから "...c'est un restaurant où il faut réserver des mois en avantce pour espérer avoir une place " 」と女性。ですから、この機会を逃すわけにはいかないのです。

…とこんな具合に、両者にはかなりの温度差があるのですが、この日はなんと二人が一緒になった記念日。「あ、ほら、ちょうどお待ちかねのバスが来たよ ! " Ah, bah, justement ! Le voilà, ton bus ! 」ということで、どうにか一件落着…。

© T'en penses quoi ?     Editions Asahi



上級

今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
前回は、学校のオイルタンクが爆発し、生徒たちが校庭に避難した話しでした。用務員のイヴさんが使っている物置き小屋にも火がとどくいきおいです。そんな時、なんとイヴさんの影が「僕」のところにやって来て、僕を小屋のほうへと誘います。大変な煙と熱でしたが、僕は進んでいきました。
シェーファー先生が僕をひきとめます。僕が「小屋にイヴさんがいるんです」と告げると、先生はイヴさんを助け出してくれました。イヴさんは救急車で運ばれ、火事は消しとめられました。
僕は先生たちから叱られたり、ほめられたり。この一件が落着した次の金曜、僕は学校委員に選ばれたのでした。

* * * * *

一週間後、イヴさんが退院してきました。昼休みに僕はイヴさんのところに行ってみました。イヴさんは焼け跡にたたずんでいました。ふりむきもせずに「危ないから近寄るな T'approche pas, c'est dangereux 」と僕に言います。そして真っ黒こげの四角いものを手にとります。イヴさんの体が震えはじめました...et tout son coprs s'est mis à trembler

「そこにいるなと、言っただろ」とイヴさんが叫びましたが、僕は動きませんでした。僕は思ったのです。イヴさんを一人にしちゃだめだって。

すると、イヴさんは振りむいて「この中に私の人生の全てがあったんだ」と言います。でも黒焦げの四角いノートは、イヴさんの指のあいだから粉々になって落ちていきました。

とはいえ火事があったって、人の記憶は燃やせません。イヴさんの頭に残っているはずです。だから僕はそう言いました。するとイヴさんは少しだけ顔をほころばせました。そして僕にお礼を言うのでした。僕のおかげで助かったと。

その後で、僕は「どうして私が物置きにいるのがわかったのか」とたずねられました。

僕は返事にこまりました。だってイヴさんの影が僕のところにやって来て、僕を連れていった、なんて答えたら、誰も信じてくれないことがわかっていたからです。僕の友達のなかには、本当のことを言ったために、毎週、心理カウンセラーのところに行かされた人もいるのです。だから僕が他人の影と話せるなんてことは言う訳にはいかないのです。

次回は、p73 の " Yves ne me quittait pas des yeux, je jetai un regard en douce vers... " からです。

© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont