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Article 9. Aspirant sincèrement à une paix internationale fondée sur la justice et l'ordre, le peuple japonais renonce à jamais à la guerre en tant que droit souverain de la nation, ou à la menace, ou à l'usage de la force comme moyen de reglement des conflits internationaux. Les hommes naissent et demeurent libres et égaux en droits.

かまくらフランス語教室

備 忘 録

Les hommes naissent et demeurent libres et égaux en droits.
かまくらフランス語教室 Article 9. Aspirant sincèrement à une paix internationale fondée
備 忘 録
sur la justice et l'ordre, le peuple japonais renonce à jamais à la guerre en tant que droit souverain de la nation, ou à la menace, ou à l'usage de la force comme moyen de reglement des conflits internationaux.

2024年3月5日

寛恕
中級

今週も第 6 課の " S'accepter tel(le) qu'on est.   (ありのままの自分を受け入れる) " がテーマです。副教材の " Accepter de vieillir "  (老いを受け入れる) を読んでみました。

やや長文でしたが、(1) ~ (5) の各パラグラフのタイトルは以下のとおり。神妙に拝読しました

(1) 老化という身体の変化を理解して Comprendre les changements physiques 、(2) 前向きな精神を培い Cultiver une mentalité positive 、(3) これまでにたくわえてきた知恵の力 ( をこれからの世代の人と共有できるようにすること ) Le pouvoir de la sagesse accumulée, ...trouver des moyens de la partager avec les générations futures 。そして (4) 社会とのかかわりを大切にして L'importance des relations sociales 、(5) 老いに立ちはだかる壁と老いにまつわる思い込みとを問い直すこと Discuter des défis et des mythes associés au vieillissement.
う~ん、ほんとうに …。

© T'en penses quoi ? Editions Asahi

上級

今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ l'élégance du hérisson 』です。

前回は、「私」の管理人室に、ピエール・アルタン氏がやってきた話しです。氏は5階のアパルトマンの住人で美食評論家です。目の前にあるものをありのままに見ないという点で際だった人です。ですから、「私」に対する偏見もさることながら、食べ物の評論についても、多弁ですが、なかみはみごとに空です。
そのアルタン氏が荷物の届けものの依頼に管理人室にやってきました。水玉模様のヒラヒラとしたリボン風の蝶ネクタイをしています。それを見て、「私」は、思わずルグランダンを思い起こし、一人ほくそ笑んだのでした。

* * * * *

ルグランダン Legrandin とは、『失われた時を求めて Dans la recherche du temps perdu 』に出てくる人物です。大変なスノブで、貴族を貶していながら、実は貴族にあこがれていて、ヘリくだったかと思えば、反りかえってみたりと、卑屈と高慢をくり返す人物です。アルタン氏をみてルグランダンを思い出したのは、このルグランダンもやはりヒラヒラの蝶ネクタイをしめているからでした。

* * * *

ところでアルタン氏は、言葉使いがまことに無礼です。「できれば・・・」などというニュアンスをかもしていますが、「お願いします」はなく、命令口調。つまり、条件法やら命令法を使いながら、どうせこの聞き手は統辞が生む意味の機微をわきまえず、見下されていることにも気がつかないだろうと、たかを括っているのです。

「荷物は " un incunable ( 木版活字本 )“ だ。壊れやすいから気をつけるように」と言い、" un incunable ( 木版活字本 ) " という言葉を発する時に、「私」の目を執拗に見つめます。

きっと氏は夜の食卓で、「管理人は " un incunable ( 木版活字本 ) " の意味がわからず、なにか卑猥なものを想像したようだ・・・」と話題をふりまくにちがいません。やれやれです。

次回は p25の " Quand cet été on a entendu aux informations que ... " からです。

© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard

2024年3月12日

中級

今週は第 7 課の " Ecouter les sons 音を聴く " がテーマです。

誰しも、見知らぬ土地で、見知らぬ音を耳にして興味をいだくことがあると思いますが、テキストの著者はまず電車のホームにひびくくみじかいメロディーに興味を持ったとのこと "...j'ai été très intrigué par les ' jingles ' ferroviaires 。なかでも キャロル・リード Carol Reed の『第三の男』のテーマが流れるのを耳にしたときはとても驚いた由 " Je me souviens encore avoir été étonné de tomber sur le thème musical du film Le troisième homme ' de Carol Reed "

横断歩道では、目の不自由な人のためにピュウピュウという鳥の声が聞かれますし ... un ' piou-piou ' qui aide les personnes malvoyantes ou aveugles à traverser、石焼き芋屋さんは「いしや~き~も~」と呼びかけます "...les camionnettes des vendeurs ambulants de patates douces " 。どれも興味深い音の風景ですが、いいただけないのは、選挙の候補者が車から拡声器で名まえを連呼するときだったそうです それはそうですよね

© T'en penses quoi ?     Editions Asahi

上級

今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
前回は、「僕」が意を決して足元の影と対峙したくだりでした。足元の影はマルケスの影であることが判明しました。マルケスの影は、マルケスから逃がれたくて仕方なかったことも明らかになりました。そしてそのマルケスは、家庭ではあまり大事にされていないことも分かってきました。「僕」にとってはいじめっ子のマルケスですが、そんな家庭環境にいることを知り、少しマルケスを可哀そうに思うようになったのでした。

* * * *

朝、天気予報をたしかめると、どうやら曇りのようです。日がささなければマルケスの影と自分の影とを交換して元にもどすことができません。がっかりして学校に向かいました。

休み時間、「僕」はリュックと校庭を歩いていました。マルケスがいろいろな人に愛嬌をふりまいて、投票を頼んでいます。ちょうど薄日がさしてきました。地面には、マルケスや他の人たちの影がうつっているのですが、皆の影が重ってしまっています...toutes les ombres se chevauchaient 。すぐ前の歴史の授業で、「密会」という言葉を習いましたが ...on avait appris ce mot (= conciliabule ) au cours d'histoire juste avant la récré 、まるで影たちが密会をしているようでした。マルケスは「僕」とリュックにむかって、お前たちはおよびでない!と、そういう視線をなげてかけきました " Marquès...nous a fait comprendre d'un regard que nous n'étions pas les bienvenus dans les parages "

リュックは肩をそびやかして、「僕」にこう言います。「投票日はもうすぐだから、君もなにか選挙運動をしなきゃだめだよ」って。

このリュックの大人びた言葉を聞いて、「僕」はまたもや頭の中で将来の僕たちのことを想像しはじめていました。リュックにはもうあまり髪の毛がなく、やつれた表情でしたが、青い目は今と変らずきらきらとしていて ...la peau de son visage était flétrie, mais ses yeux bleus brillaient toujours autant 、パン屋の主になっていました。本当はリュックは理科が得意だし、自分でもお医者さんになりたいって言っていたのでしたが…。

次回は、p63の " Alors je me suis tu et j'ai gardé ce secret pour moi. " からです。

© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont

2024年3月19日

中級

今週も第 7 課の " Ecouter les sons .   (音を聴く) " です。

頭をひねりながら、こんな質問にとりくんでみました…。
♥  意識はしていないけれど実は日常よく耳にしている音は Quels sont les sons qu'on entend quotidiennement sans s'en rendre compte ?
♥  心地よいと感じる音あるいは不快な音とは Quels sont les sons qu'on aime et qu'on n'aime pas ?
♥  公共の場で一定のメッセージをもった音とは Quels sont les sons que l'on entend dans l'espace public et qui portent un message quelconque ?
♥  朝起きて一番に聞こえてくる音は Quel est le premier son qu'on entend le matin ?
etc.




© T'en penses quoi ? Editions Asahi

上級

木版活字本 incunable

今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ l'élégance du hérisson 』です。

前回は、アルタン氏が、管理人の「私」のところに頼みごとをしにきた場面でした。荷物が届き次第、5階の自宅まで持ってきてくれないかという頼みごとです。が、その物言いは慇懃無礼。お座なりなことば使いをしても、所詮、管理人ごときが気づくはずがないと、たかを括っているようでした。ですから「私」は思いきり相手がそう思えるよう、その通りに振る舞いました。

しかも荷物の中身は " 木版活字本 incunable " とのことでしたが、アルタン氏の態度は、どうせ " 木版活字本 incunable " なる言葉がなにを意味するかを知らないだろうというものでした。「私」とアルタン氏のどちらが偉ぶっているかは、神様が知っていることと思います。

--- 以上、第一節「貴族」前半の終了 ---

***

--- 第一節後半「この世の " 運動 " を綴る No1」---
(再び12才の「私」の独白です)

死そのものや、いつ死ぬかは大切ではありません。死にいたるまでをどう過ごすかが大切なのです。ですから「私」はその日が来るまで、思索を深めていこうと決心しました。

でもそういう知性に偏ったものだけでなく、人の身体や物質についても書きとめたいと思っています。人体や物体の美をさがし出して、『この世の“ 運動 " の日誌』に綴ることにしたのです。

どうして人体に興味をもったかというと、そのきっかけは父です。きまじめで典型的な政治家です。でも土曜にラグビ―の試合がある時は豹変します。靴を脱ぎすて、シャツの腕をめくって、テレビの前のソファーに体をうめます。ソファーの前にはビールとソーセージ…。

つまり政治家としてはありきたりな人ですし、ラグビーファンとしては、どこにでもいるような陳腐なファン。父は究極のステレオタイプ男なのです。

「ニユージーランド選手のハッカを見のがしたくないから、ソーセージをもってきてくれないか " Ma chérie, apporte-moi du saucisson s'il te plaît, je ne veux pas rater le haka " 」などと私にむかって用を言いつけます。どうせ長々とコマーシャルが続くのに・・・。母は母で、父のソファのひじ掛けに腰をのせて、今度の来客にまつわる不平不満をならべています…。
( 「私」が人体の美に興味をもった理由は、まだまだ明らかになりませんが )、次回は p39の " Quand on connaît la subtilité psychologique de mamam, le projet a de quoi faire rigoler..." からです。

© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard

2024年3月26日

中級

ランボーの手記

今週は第 9 課、ランボーの詩 " Le dormeur du val 谷間に眠るもの " を読みました。

青々とした草がしげり太陽の光がそそぐ谷あいに、若い兵士がねそべっています Un soldat jeune,... ... étendu dans l'herbe...où la lumière pleut 。片手を胸にあて静かに寝ているようです。でもからだの右脇にみえるのは 2 つの銃創… Il a deux trous rouges au côté droit 。明るい陽光とは対照的な、冷たくなった一人の兵士の姿です。

この詩の意味もさることながら、詩の形式にも目を向けてみたいところです。一行は、12 音綴。最後の単語は、隔行ごとに韻を踏んでいます。そして一つの文は、かならずしも行末では終わらず、次の行の冒頭で終わっています。音と意味の妙も味わってみたいと思います。





© T'en penses quoi ?     Editions Asahi

上級

今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
前回は、学級委員選挙の活動をめぐる話しでした。立候補をしているのはアルケスと僕だけです。マルケスはクラスの友達のところに立ち寄っては、お愛想を述べ、マルケスへの投票を呼びかけています。これを見て、パン屋のリュックは、僕たちもまじめに選挙達動しなくてはと僕に釘をさします。でも僕はそんなことにはお構いなしに、頭の中で僕たちが大人になった時のことを夢想していました。
本当は医者になりたかったリュックですが、両親のパン屋を継いでいました。しかし工場でつくられるパンがスーパーマーケットの棚にならぶ時代ですから、店のやりくりは苦しそう。でもきれいな目は、今のリュックの目とかわりません。想像上のこととはいえ、僕はほっとしたのでした。

* * * * *

リュックはなおも気をもんでいます。「選挙戦をどうするつもり?」と Alors, pour cette élection, qu'est-ce que tu comptes faire ? 。 でも僕の頭のなかは別の考えで一杯でしたから、逆にリュックに質問してみました。「もし人の不幸を見抜ける能力をもっていたらどうする... si tu avais le pouvoir de deviner...ce qui les rend malheureux, tu ferais quoi ? 」。
リュックは、そもそもそんな能力がこの世にあるわけがないとつっぱねます。それにただでさえ、お父さんとお母さんがやりくりで困っていて僕までつらいから、両親以外の不幸まで抱えたくない!というのがリュックの答えでした。
でも、もしも村町さんになれるのだとしたら、スーパーマーケットを禁止する法律をつくれるかもしれない ...je pourrais faire passer une loi pour interdire qu supermarché...、などとも語るのでした。

休み時間がこうして終わりました。数学の時間です。突如、教室の窓ガラスが割れました... les carreaux volèrent en éclats 。皆、床にふせて!と先生が叫びます。泣いている子や髪の毛にガラスの破片がついている子もいましたが、けがをした生徒は誰もいませんでした。僕たちは、先生の指示にしたがって列をつくって校庭に出ました。ほかのクラスも校庭に避難していました。校舎の窓ガラスはすべて割れていました。

なんと校庭の物置小屋の背後から、もくもくと煙がたちのぼっています on voyait s'élever une colonne de fumée derière la remise du gardien 。「ガス・タンクだっ!」とジェルビエ先生が叫びました。神様のしわざとは思えません。一体、何がおきたのでしょう…。

次回は、p66 の " Mme la directrice était dans tous ses états, elle ordonnait aux professeurs de nous compter ... " からです。

© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont