2023年7月4日
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ホモフォビアにはレッドカードを !
今週も 9 課の『 トランス・アイデンティティ La trandidentité 』です。子供新聞を読んでみました。一つは『同性愛ってどういうこと C'est quoi, être homosexuel ? 』、もう一つは『サッカーの試合で、ホモフォビア ( 同性愛差別 ) の歌を歌うのはダメ ! Foot : stop aux chants homophobes ! 』というタイトルです。タイトルをクリックすると、フランス語のテキストを読むことができます。
2019年のことですが、審判がサッカーの試合を中断させることが何度かあったのだそうです。サポーターたちがホモフォビアの歌を歌ったためでした。相手チームを同性愛者に見立てて歌うとのこと。相手チームの士気をそぐために習慣的に歌われていたという経緯もあり、歌っている人のなかは、これが同性愛の人を傷つけることになることに気づかない人もいるそうです " Ils ( les supporters ) y sont tellement habitués qu'ils ne se rendent pas toujours compte que cela peut être injurieux pour les personnes homosexuelles "。
試合を中断させる事に対しては、賛否両論があったそうですが、逆にもっと厳しく対処して、そのような歌を歌う人はスタジアムから退出させるべきという意見もあるとのこと。子供新聞は次のように結んでいました。どのような差別であれ、人を差別することはあってはならず、「その差別をなくしていくにはたくさんの人が声を上げなくてはいけない」 "...il faut être nombreux à la voix pour faire reculer les discriminations, quelles qu'elles soient " 。 素晴らしいですね。
© A la page 2023, Editions Asahi
© 2023 Milan Presse - 上級
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レイモン・クノー
今週は『地下鉄のザジ Zazie dans le métro 』でしたが、お休みです m(__)m 。
© "Zazie dans le métro ", Raymond Queneau, Folio
2023年7月11日
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カフェ・ドルーアン :
ゴンクール賞選考会場今回は第10課の『Les prix littéraires 文学賞』です。
秋はかずかずの文学賞が発表される時期です。それを目指すようにフランスでは、 9 月の新年度に新刊本が集中して出されるようです " Il existe de nombreux prix littéraires en France... au mois de septembre, c'est la rentrée littéraire : des centaines de romans sont publiés " 。
ルノドー賞、フェミナ賞、アンテルラリエ賞、メディシス賞…とかずかずある中で、ゴンクール賞はとくに有名です。1903 年にゴンクール兄弟が遺言でアカデミー・ゴンクールをつくらせました。そのアカデミーが選出する賞がゴンクール賞です。選考の条件は、♦フランス語で書かれていること、♦フランス語圏の出版社で過去一年の間に出版されていること、♦書店で販売されていること、だそうです " Il y a des conditions sine qua non pour pouvoir recevoir ce prix : le roman doit être écrit en français, publié pendant l'année par une maison d'édition francophone et vendu en librairie " 。2021 年には、セネガルのモハメッド・ムブガー・サール氏が受賞して話題になりましたね。
ゴンクール賞は小説だけではありません。。詩、短編小説、デビュー作などいくつかの部門があります。「高校生がえらぶゴンクール賞」というのもあります。ゴンクール賞の候補作品とおなじ作品から、約 2000 人の高校生たちが審査員となって選ぶそうです。「ゴンクール賞」の受賞者が、「高校生がえらぶゴンクール賞」の受賞者とおなじ人であることはまれだそうです ( その理由は、大人のアカデミー会員とちがって高校生はしがらみがないから…という人もいるようです ヨ … ) 。
© A la page 2023, Editions Asahi
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今週は " le Chapeau de Mitterrand " です。前回は、ダニエルがようやく帽子を取り戻したものの、本当の持ち主であるミッテラン大統領がダニエル同様、ベニスに滞在していると知り、大統領に帽子をかえす決意をしたところまででした。帽子の内側に、「お礼をします」という言葉とともに連絡先を記したメモがはいっていました。その連絡先はエリゼ宮。エリゼ宮の執務官の指示にしたがい、ダニエルは大統領がまつカフェ・フロリアンに向かいます。
ゴンドラに揺られて、カフェ・フロリアンについたダニエル。天使のフレスコ画の描かれた小さな部屋にはいれば、ミッテラン大統領が大理石のテーブルにすわっています。二人は丁寧な挨拶をかわします。銀の盆に運ばれてきたカフェをのみながら、大統領は帽子を見つけてくださったお礼をしなければ・・・と申し出ます。が、ダニエルはそれを辞退。
すると大統領は、そういうことであれば、実は…と前おきをして語りはじめます。「帽子をなくしたのは実のところヴェニスでではないのです。ずいぶんと前にパリで紛失したのです。きっとこの帽子は今日にいたるまで、いくつもの冒険をしてきたにちがいありません…」と、フェルト帽をなでながら告げ、ダニエルの目をじっと見すえます。ずいぶんと含みのある言葉でした。
そして夜…。お礼を辞退したダニエルでしたが、大統領と連れの二人の女性との夕食に招かれるという、このうえもない誉れに浴したのでした。
一度はミッテラン大統領の手を離れたフェルト帽。これが、次から次へと持ち主をかえて、そしてようやく大統領のもとに戻ったのでした。
* * * *
エピローグ
さて、時間はさかのぼり…
ミッテラン大統領がレストランに帽子をおき忘れたことに気づきます。すぐに大統領直属の特殊(!)調査官がレストランにひき返します。しかし帽子は消えていました。支配人に聞けば、隣に座っていた男がそれらしき帽子をかぶって帰ったとのこと。ただしこの男は予約客ではなくカードで支払いを済ませて去っていったとのこと。調査官たちは、カードの決済書のコピーをエリゼ宮にもちかえり、翌日には帽子を持ち帰ったのはダニエル・メルシエで、どんな男であるかも突きとめていました。以後、調査官たちの尾行が続きます。写真にもおさめました。ところが追ってい人物つまりダニエルはその帽子を失くします。帽子は女性の手にわたり、つづいて調香師の手にわたります。その経緯はすべて大統領のもとへ逐一報告されていました。ですから、ミッテラン大統領は、女性が小説家であったことも、調香師が失意から立ちなおって新たな香水を創ったことも知っていました。女性の小説に目をとおし、新作の香水を一瓶買いもとめていたほどでした。
次回は p186 " Quand les hommes de l'Elysée découvrirent par une des lettres que Pierre Aslan n'avait plus de chapeau... " からです。
2023年7月18日
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今週は 11 課の『成人年齢 La majorité 』です。
成人年齢は、日本では 2022 年に 20 歳から 18 歳に引き下げられましたが、フランスでははやくも 1974 年に 21 歳から 18 歳に引きさげられていました。
この年齢引きさげは、ヴァレリー・ジスカール・デスタン氏の大統領選での公約の一つだったそうです " Baisser la majorité à dix-huit ans, c'éait l'une de ses ( Valéry Giscard d'Esting ) promesses électorales " 。折しも60年代は社会が大きく変わり、特に " 68 年の 5 月革命 ( Mai 68 ) " は働く人や学生による、体制に対する激しい反対運動が起こりました。
ですから成人年齢の公約は、若者へのアピールでもあったと言います " Pour VGE(Valéry Giscard d'Esting), c'était aussi une façon de montrer à la jeunesse qu'il s'intéressait à elle 。ジスカール・デスタン氏が大統領になり、公約どおり若者は18才で親権をはなれることになりました。
しかしその次の大統領選ではジスカール・デスタン氏は敗北。左派のミッテラン大統領が誕生しました。この大統領の交替は、新たに投票権を手にした若者たちの声が反映したからなのでしょうか…
その答えは永遠に不明のようですね On ne le saura jamais...。成人年齢が18歳以下の国も少くないなか、フランスも16歳に投票権をあたえようという動きもあるようです 。
© A la page 2023, Editions Asahi
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今週は『地下鉄のザジ Zazie dans le métro 』です。
前回は・・・バラノヴィッチとトルウスカイオンとが、ガブリエの店がおひらきになるのを待っているところでした。そしてようやくのこと、ガブリエルのダンスを堪能した面々が店から出てきたのでした。
ムアック未夫人も出てきて、トルウスカイオンにむかって、「楽しかったわ。この方、面白いのよ」とガブリエルを指します。ほめられたガブリエルは礼を言いつつも「面白いだけではなく、芸術でもあることをお忘れなく」と念をおします。
一方、観光客の一行はバラノヴィッチのバスに乗りこみます。ガブリエルが、アディオス・アミゴスなどと大声で別れを告げるなか、次の旅程地のジブラルタルへと去っていきました。
タクシー運転手のシャルルも婚約者のマドを乗せて帰っていきました。
ガブリエルは、それではこれから " ニクタロプ " へ行こう、私のおごりだと皆をうながします。ムアック未夫人とトルウスカイオンもついてきます "...la rombière et le flic ... nous ( Zazie et autres ) colochaussent 原文ママ( = coler aux chaussures ) " 。この二人が好きではないザジは「この人たちを脅かして、追いはらって ! 」とガブリエルにたのみますが、そこはガブリエル。「ついてくるのはあの人たちの自由だ。もっと人を理解できるようにならないとな」とザジをさとします。
トルウスカイオンは、私にもおごらせてくださいと、しおらしいのですが、その時、靴屋のグリドウが皆に警告します。「この男は、午前中のあの変態だぞ」と。
ガブリエルはトルウスカイオンの服をつかんで、街灯の下まで引っぱっていき、まじまじとトルウスカイオンの顔を見つめます。「今朝の口髭はどうした?」「家に置いてきました」。こういうやり取りの後、トルウスカイオンは「本当は巡査ではなく、巡査の格好をして楽しんでいるだけだ "...c'est un déguisement...juste pour m'amuser..." 」と迫状。そしてガブリエルに更に首をひねられると、今度は、午前にザジにつきまとっていたいかがわしい男であったこともぽろりと自白。
こうなると誰もが「吐いたぞ」「このゲス」と口々に叫び大騒ぎになります。そこへ自転車に乗った、警官もどきの二人の男 " deux hanvélo (= deux en vélos )" が暗闇から出てきます。「夜間の騒音、迷惑行為、睡眠妨害 !! 」と大声で注意します。
二人の闖入者を前にして、ばつが悪くなったのか、ガブリエルはそっとトルウスカイオンから手をはなします。するとトルウスカイオンはなぜか勇気をふるいたたせて、「私は巡査だ。この制服が目に入らないかね ? 」と、二人の自転車男 les deux hanvélos に向かって巡査のマントをパタパタとひるがえさせたのでした。
次回は p219 の " D'où tu sors, dit le hanvélo qualifié pour engager le dialogue " からです。
© "Zazie dans le métro ", Raymond Queneau, Folio
2023年7月25日
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今回もふたたび成人年齢 la majorité civile ( la majorité légale ) についてです。法律上の説明でしたので、少々かたい文章でしたね。
民事上のことなのか、刑事上のことなのか、はたまた選挙上のことなのか…それによって、成人年齢は変わってくるそうです "...la majorité civile, la majorité électorale, la majorité pénale, elle ne correspondent pas toutes au même âge " 。18 歳になればあらゆる選挙に投票することができますし On peut voter à toutes les élections、地方議会や下院の議員として立候補することもできます On peut être candidat pour être élu conseiller municipal ou député 。コミューン ( 市町村 )長に選ばれることもできるそうです " On peut être élu maire d'une commune " 。ですが、上院議員に立候補できるのは 24 歳になってからとのこと。
7 歳は、「分別をもつようになる年齢」なのだそうで " 7 ans : c'est ' âge de raison ' 、その行いによっては少年裁判所で裁かれることもあると記されていました " On est responsable de ses actes donc être jugé (tribunal pour enfants) " 。また 10 歳になると警察署などで拘束されることもありうるとのこと ( 拘束時間は 10 時間以内 la garde à vue ne peut durer plus de dix heures ) 。外国籍をもっている場合は、16 歳になるとフランス国籍を申請できる…等々、なるほど オ とちょっと腕組みして考えさせられるテキストでした
© A la page 2023, Editions Asahi
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今週は " le Chapeau de Mitterrand " でしたがお休みしました。代わりに子供新聞の記事を二つほど。そのうちの一つはボーヴァル動物園 le ZooParc de Beauval のパンダ、ユアン・メン Yuan Meng の記事です。フランス生まれのパンダですが、お嫁さんを見つけに中国に帰ることになりました。 こちらがその記事です。ユアン・メンが旅立つ日の動画もどうぞ。