2024 年 12 月 3 日
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今週も第 13 課『Les médecines alternatives 代替医療 』の続きです。「アニマルセラピー」にかんするテキストを読みました。
アニマルセラピーは、訓練された動物を介して、患者の心や体を回復させることを目的としているのだそうです。観察する、触れる、なでる、ブラシをかける、一緒に遊ぶ、屋外を散歩するObservation de l'animal, jeux avec lui, caresses, séance de brossage, promenade en plein air ...…などの活動があるそうですが、興味深いのは、動物に無理を強いることを禁じていること。動物自身がみずからの意志でセラピーにくわわることが前提なのだそうです ョ。
こんな風に書かれていました。Soyons d'accord, des animaux, pas des jouets !
動物はおもちゃではありませんよね !!
© Hirondelle 2024 Editions Asahi
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今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
前回は・・・
クレアの影と僕の影とが重なり、クレアの心の声を僕が聞いたくだりでした。「陰でからかわれたり、ことさら同情されたりするのがつらい。終わりのない夜にいるようで、大きくなるのがこわい」と影は語ります。だから僕も、クレアの耳に届かないことはわかっていたけれど、クレアがどれだけ素敵かをクレアの背中にむかって語りかけました。 やがてヴァカンスの終わりの日がやってきました。最後の別れに、クレアに手紙を書いてわたそうとしましたが、クレアは受けとってくれませんでした。なので手紙を置いてきました。クレアが読んでくれたかはわかりません。
その年以降、僕たちがあの海岸を訪れることはありませんでしたし、クレアから便りをもらうこともありませんでした。
* * *
学校では、学年が上がるにつれて僕はマルケスと同じ体格になっていました。3 年続けた学級委員もマルケスにゆずりました。そして僕は、あの中学の校庭、家の屋根裏部屋・・・たくさんの思い出を残して、医学生になったのでした。
僕が医学生になることが決まった時、お母さんとリュックが、僕を見送るために駅まできてくれました。僕が小さいころは僕に隠していた涙ですが、駅ではもうお母さんは涙をかくすことはありませんでした。
医学部の 4 年生になった時、お母さんは 40 年勤めた看護職を定年退職。今は図書館でボランティアをしています。年に2回、僕に会いにきます。川沿いを散歩し、小さなビストロで夕食を共にします。どんな生活をしているのかと盛んに尋ねます。そして僕への要望も語ります。人間味のある医者になってほしい、キャリアではなく患者さんを大切にしてほしい・・・と。
次回は p129 の " A chacun de ses séjours, elle se fait un devoir ...からです。
© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont
2024年12月10日
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ENA 図書館
今週は第 14 課の『 La refonte de l'ENA エナの統廃合 』です。
グランゼコル ( Grandes Ecoles ) は、大学とは別の高等教育機関で、優秀な人材を輩出する学校です。 そのグランゼコルの一つである ENA ( Ecole nationale d'administration 国立行政学院 ) は、国の要職につく人材を養成しています。ENA 出身の大統領も少なくありません。
しかし黄色いジャケット運動 la crise des Gilets Jaunes がおきて以来、もともとあった ENA への批判がさらに高まりました。
普通の人々の生活を理解していないというのがその批判の一つ。
また豊かな社会層の子弟がグランゼコルにはいり、その卒業生が豊かな社会層をふたたび形成しているという批判もありました。" Reproduction sociale 社会的再生産 " と言われているそうです。そうした批判を受けて、ENA の解体が決まりました。そしてそれに代わって INSP ( Institut national du service public 国立公務学院 ) ができたそうです。INSP は 2022 年 1 月に開校しましたが、どう改革されたか、これからが正念場のようです L'INSP, qui a ouvert ses portes en janvier 2023, va devoir faire ses preuves 。
ストラスブルグのINSP
© Hirondelle 2024 Editions Asahi
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今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。
前回は、ルネがフッサールの現象学に永遠のわかれを告げたくだりでした。
折しもマニュエラがティータイムにやってきて、何を読んでいるのとたずねるので、「民間伝承の詩集よ」と答えて、フッサールの本を永遠に閉じたのでした。
マニュエラは、2階のド・ブロイ家で調理をしてきた帰りです。マニュエラによれば、食卓に並ぶトリュフに⾹りがなかったために、ド・ブロイ夫人がご機嫌ななめだった由。***
そしてさらにマニュエラ曰く、コッカスパニエル cocker のネプチューンが何時間も待たされた挙げ句に、我慢しきれなくなって、サン-ニス氏の脚にオシッコをしてしまったとか。
私 ( = ルネ )は、このネプチューシとはとても気持ちが通じています。ネプチューンは、私がネプチューンを好きなのを知っていますし、私にはネプチューンが何をしたがっているかが、手にとるようにわかるのです ...ses diverses envies me sont transparentes 。
ネプチューンは、徹頭徹尾、犬でいたがっています !! でも 3 階の住人兼飼い主のバドワズ嬢はネプチューンをジェントルマンのように振る舞わせたがっています。
というわけで、ネプチューンは泥まじりの水たまりがあれば、思いきり首をのばしてリードをひっぱります。当然、バドワズ嬢に容赦なく阻まれて、" お坐り " をさせられます。が、そこはネプチュ―ンのこと・・・あられもなく⽚脚をあげて某所をなめます。
それだけではありません。散歩の折にごみ置場のまえを通れば、残飯の臭いにさそわれて狂ったようにリードをひっぱり、舌をたらし、しっぽをブルンブルンふりまわします Lorsque sa maîtresse passe devant le local à poubelles, il ( Neptume) tire comme un fou en direction dudite, langue pendante et queue déchanînée. 。
これはバドワズ嬢にとっては、あってはならないこと !!アメリカの南北戦争の項、南部の良家の娘は、お腹が空いていても決してそのようなそぶりをみせなかったそうです。さもなければお嫁にいけなかったからです。バドワズ嬢からすれば、ネプチューンもそう振る舞うべきなのです。でもネプチューンは、なにを隠そう、腹をすかしたヤンキーそのものなのでした !!
- - - 第七節 「南軍」 終わり - - -
次回は p76 の " Journal du mouvement du monde No. 2 からです。
© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard
2024 年 12 月 17 日
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いよいよ最後の課になりました !! 15 課の『 Les monnaies locales complémentaires ( MLC ) 地域補完通貨 』を読みました。
MLC ( 地域補完通貨 ) というのは限られた地域だけでつかえるお金だそうで、フランスには 70 以上の地域通貨があるそうです。「社会的連帯経済法 la loi Economie sociale et solidaire 」という法律によっても後押しされているようです。
なにしろ「地域の生産者の品物を買う、あるいは近所の商店で買い物をする ...on consomme plus de produits locaux...( soutient ) le commerce de proximité …」のですから、地域の活性化にもなりますし、雇用も増えます。そして遠くからの物流にたよらなくてすみます。
ウスコ l'eusko というのはバスク地方の地域通貨です。2011年に十数人の活動家が準備をはじめたそうです。当初の利用者は 800 人でしたが、たちまちのうちに広まり、今ではその規模は欧州で一番になったそうです。
© Hirondelle 2024 Editions Asahi
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今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
前回は、「僕」が医学生になるまでの回想です。
二度と会うことはありませんでしたが、バカンスでクレアと出会い共に過ごしたことは忘れられない思い出です。そして僕は高学年になって、いじめっ子だったマルケスと同じ背丈になりました。高校を終えるとお母さんや親友リュックと別れを告げて医学部の学生として暮すようになりました...。* * */p>
医学生になって 4 年目。医学書を読み、授業の復習をし、インターンの準備をしながら緊急治療と小児科の夜勤を担当する・・・そんな忙しい日々を過ごしていました。が、とある昼休みのことでした。
医学の勉強をするということは即ち睡眠不足と闘うこと Faire des études de la médecine, c'est lutter en permanence contre le manque de sommeil 。ですので中庭のベンチで僕はまどろんでいました。すると同学年のソフィーが僕の横にこしかけました。双方、忙しすぎて、互いにどういう仲かをはっきりすることなく過ごしてきました。
何度も聞いた話しでしたが、再びソフィーが気になっている患者について話しはじめました Sophie me parlait pour la énième fois d'un cas qui la préoccupait 。その患者とは 10 才の男の子。この 2 週間、食事を受けつけていないと言います。次回は p129 の " A chacun de ses séjours, elle se fait un devoir ...からです。
© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont
2024年12月24日
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数か月お世話になった教科書の " Hirondelle 2024 "を読了しました !! 最終課の15 課のタイトルは『 Les monnaies locales complémentaires ( MLC ) 地域補完通貨 』。同じテーマのテキストを読んでみました。地域通貨はなにか地産地消 la consomation locale に通じるものがありますね。
* * *
次の教科書が準備できるまで、すこし間がありますので、今日の後半は小学 2 年生 !! の国語の教科書 Langue français を読むことにしました。
まずは手始めに 「何が書いてあるかな ? 」からです。メニューやら、チラシやら、看板やら…日常でよく目にする文章をつまみ食いしました。その中の一つの「大切なお知らせ Avis important 」はこんな感じです。
秋ともなるとキノコ狩りが盛んになりますが、「採ったキノコはすぐに口にしてはいけません。まずはお薬屋さんで確認しましよう。キノコについてよく知っている地元の人と一緒に採取するなら大丈夫です。 」...ne les mangez jamais sans les montrer à un pharmacien, à moins bien sûr que tu n'ailles les ramasser avec quelqu'un du pays qui les connaît bien. …という掲示がありました。私も薬屋さんのショーウィンドウでそういうポスターをよく見かけましたっけ… 。© Hirondelle 2024 Editions Asahi
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今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。
前回は、ルネが管理しているマンションに住む犬 ( とその飼い主 ) のお話しでした。
4 階のディアヌ・バドワーズ嬢はコッカスパニエルを、3 階のアンヌ・エレーヌ・ムリス嬢はウィペット犬を飼っています。それぞれ名前がふるっていてネプチューンとアテナといいます。飼い主たちは、犬に気⾼く振る舞うことを課しています。しかしご当⼈(当犬)たちは意に介しません。泥の水溜まりをみれば飛びこみたくなりますし、異性の犬には⾊めきだちますし、ごみ捨て場の残飯のにおいが漂っていれば尻尾を振りまわして全力で近づきます。* * * *
第八節「 この世の運動を綴る No2 」
(再び12才のパロマの独白です)
私 ( = パロマ ) の住むマンションには 2 匹の犬がいます。ムリスさんのウィペット犬とバドワーズさんのコッカスパニエルです。この 2 匹はありきたりなキキとかレックスなどという名前は付いていません。ネプチューンとアテナという名です。
この 2 匹がある時、⼀階のホールではち合わせになったことがありました。
双方、互いにお尻のにおいを嗅ぎ合っていました。が、アテナは、ネプチューンの○○○が臭かったのかどうかはわかりませんが、突如、うしろに飛びはねて退いてしまいました。しかしネプチューンは方は、まるで血のしたたるステーキを潜ませた花束の匂いをかいでいるかのような喜びようです ...il ( = Neptune ) avait l'air de renifler un bouquet de roses dans lequel il y aurait eu un gros steak saignant 。
そして " しめた kairos ! ( kairos は「時」という意味ですが、パロマには一家言あって「好機」という意味だとしています !! ) " とばかりにアテナの上に乗ってしまったのです。バドワーズさんもムリスさんも「ん まあ ! 」「ダメッ ! 」と叫び声をあげます。しかし二人の飼い主の次の動作は緩慢でした。それは自分たちの気高き犬がそのようなはしたないことをするはずがないという思いこみのせいでした ...elles font mine de croire qu'elles promènent des peluches distinguées sans aucune pulsions déplaceée...。
それでも両人は、ネプチューンとアテナをなんとか引き離そうと、それぞれがリードを引っぱります。さて、この先、一体どうなるのやら…
次回は p78 の " En fait, Diane aurait dû tirer vers le haut et... からです。
© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard