
今回は、シスレーの『カナル・サン・マルタン(運河)』です。シスレーの絵の特徴の一つは水面に映える光の描き方だそうです Les jeux de lumière sur l'eau sont une des caractéristiques de son oeuvre 。

水面にはもう一つの青い空が映っています。
この絵が描かれたのは1870年。当時のパリ10区はとても鄙びています…。
昨今では、数キロの運河をゆっくり船で遊覧することもできるようです。いくつもの橋をくぐり、トンネルを抜け、左右の街並みを愛で…となかなかのコースだとか…。

© Au Musée d'Orsay Editions Asahi

今回のテーマは、「欧州文化首都・マルセイユ」です。
欧州連合は、毎年、2つの都市を「欧州文化首都」に指定するのだそうです。その目的は、欧州市民が互いに近づき、欧州の豊かな文化にふれ、欧州市民としての意識をつちかうこととのこと Les objectifs, c'est approcher les cityoyens européens, montrer la richesse culturelle de l'Europe et développer le sentiment de citoyenneté européenne 。2013年に指定されたマルセイユは、1年間、町の人々も参加して、400 もの展覧会、コンサート、祭り等々をひらいたそうです。
2017年欧州文化首都はデンマーク
オーフスとキプロス・パフォス
テキストの末尾は、アジアで「アジア文化首都」が毎年、指定されたら良いと思いませんか、という質問 !! そう思います…。
© A la page 2013 Editions Asahi

今週は " L'Etranger " です。
ムルソーは、司祭の面会をずっと断ってきました。夏の夕刻、体を横たえ、今頃、空が金色に輝いているんだろうと想像をめぐらせます。恩赦はあきらめました。それでもまだ生きています。血がどくんどくんと脈打っています Je venais de rejeter mon pourvoi et je pouvais sentir les ondes de mon sang circuler régulièrement en moi 。マリーのことを久しぶりに思い出しましたが、マリーと自分とを結びつけるものは、もう何もありません ...rien ne nous liait 。気持ちは醒めていました。自分が死ねば、思い出してくれる人は誰もいないでしょうし、それも致しかたないこと…と考えています。
そんな時、司祭が突如部屋に入って来ました C'est à ce moment précis que l'aumônier est entré 。来る時が来たのかと、体が一瞬震えます...j'ai eu un petit tremblement 。それに気づいた司祭は、「怖がらないで。ただちょっと顔を見たいと思ってきただけですから Il m'a répondu que c'était une visite tout amicale... 」と言って、ムルソーのベッドに腰をおろします。「そばに座りませんか」と穏やかな表情で語りかけますが、ムルソーは断ります。

両腕を膝におき、うつむいたまま両手を見つめつづける司祭 Il est resté... assis, les avant-bras sur les genoux, la tête baissée, à regareder ses mains 。ずいぶんと長いあいだそうしていましたが、突如、顔をあげて、「どうして私との接見をこばむんですか」と尋ねます。「神を信じてませんから」と答えるムルソーに、「本当にそう思いますか」と聞き返します。「そうかどうかを考える必要もありません。大切な問題だとは思えませんから ...j'ai dit que je n'avais pas à me le demander : cela me paraissait une question sans importance 」というムルソーの言葉を聞き、司祭は身体をおこします。両方の手のひらを腿におき壁に寄りかかって、独り言のように、「自分では確かだと思っていても、実際にはそうではないことがあるものです…」と一言。ムルソーはなにも言いません。「どう思います? 」とたたみかける司祭。「そうかもしれません。でも、そういう話しには興味がない…」とムルソー。
司祭は、ムルソーから視線をそらし、不動のまま、「そのようなことを言うのは、捨て鉢になっているからですか Il...m'a demandé si je ne parlais pas ainsi par excès de désespoir. 」と問い直します。「そうではなく、こわいのです。」「そうであれば、神が助けてくださいます。あなたと同じ立場にいた人は、皆、神におすがりしていました。」「そうしたい人は、そうすればいい J'ai reconnu que c'était leur droit 。…私にはもう時間がないんです。」と、ムルソー。

司祭の手が神経質に動きます。服の折り目をなおして、司祭は言います。「あなたが死刑囚だからではなく、友達としていわせてもらえば、私達は皆、死を背負っています」。ムルソーは言葉をさえぎり、「それは違う、慰めにもならない」と応酬します。司祭もそれは認めました。「しかし、今日死ななくてもいつかは死ぬのです Mais vous mourrez plus tard si vous ne mourez pas aujourd'hui 。そうだとすれば、そのつらい試練をどう迎えるのでしょう」。ムルソーは答えます。「今私はその試練を迎えていますから、今と同じようにします J'ai répondu que je l'aborderais exactement comme je l'abordais en ce moment . 」と。
次回は、 Il s'est levé à ce mot et m'a regardé droit dans mes yeux. からです。