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Article 9. Aspirant sincèrement à une paix internationale fondée sur la justice et l'ordre, le peuple japonais renonce à jamais à la guerre en tant que droit souverain de la nation, ou à la menace, ou à l'usage de la force comme moyen de reglement des conflits internationaux. Les hommes naissent et demeurent libres et égaux en droits.

かまくらフランス語教室


備 忘 録

Les hommes naissent et demeurent libres et égaux en droits.
かまくらフランス語教室 Article 9. Aspirant sincèrement à une paix internationale fondée
備 忘 録
sur la justice et l'ordre, le peuple japonais renonce à jamais à la guerre en tant que droit souverain de la nation, ou à la menace, ou à l'usage de la force comme moyen de reglement des conflits internationaux.

2024年10月8日

中級

今週は第九課の『 Christian Dio クリスチャン・ディオール 』です。

クリスチャン・ディオールは絵の才能がみとめられて、ファッション界に入った人です。
はじめてのコレクション発表は戦後間もない1947年。20歳そこそこだったそうです。「花の冠」と銘打ったコレクションは New Look とも言われ、当時のファッション界に革命を起こしたとか ...la première colection de Dior, " Corolle "...révolutionne la mode de l'époque...。丸みをおびた肩のライン、ほっそりしたウェスト、たっぷりとしたスカート ...les épaules sont arrondies, les tailles fines et les jupes amples …優雅で女性的なシルエットでした。

つづくコレクションもファッション界に新風を吹き込み続けますが ...Christian Dior ne cesse d'innover 、1950年代からは丸みをおびた線は姿を消し、代わって登場するのが " ligne H " なのだそうです。

クリスチャン・ディオールの亡きあとは、イヴ・サンローランやジョン・ガリアノ等々がブランドを継承し、ディオールの原点をまもりつづけているとのことでした ...d'autres créateurs lui succèdent, tels que Yves Saint Laurent, John Galliano...qui revient aux fondamentaux du fondateur





© Hirondelle 2024 Editions Asahi



上級

今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。
ルネとパロマ…、どちらの思索もだんだんややこしいことになってきましたネエ。もしお気づきのことがあればご教授を…お願いいたします。

前回は中学生のパロマの独り言でした。世の中や周囲の大人たちを冷めた目で見ているパロマの独白です。

ある会食者が " 実行力のない人は政治家になるしかない " というような意味のことを、二重にも三重にもわかりにくい、まるでマトリョーシカ人形のような入り組んだ表現で述べました。私 ( =パロマ ) も確かにそれは認めます。でも、あの会食者の発言の真意はもっと別のところにあるように思います。
つまり " 実行力のなくても、弁がたてば強者 ( 政治家 ) になれる " という意味なのです。あの会食者の言葉から読み取れるのは " 行動を起こせなくても、口達者は世の中を牛耳じる ( 政治家になる ) ことができる "、ということなのです。

私はそのように解釈したわけですが、しかしその考えに完全に賛成したわけではありません。だって言語をものにした人間が優位にたつということを認めたとしたら、人間が本来もっているはずの動物性を否定することになるからです !!

そして再び場面がかわります。ルネの語りです。
ルネこと「私」はフッサールを一心不乱に読みました。もしかしたら現象学が自分の迷いを払しょくしてくれるかもしれないと思ったからです。自分の知識で読めるだろうかという不安もありました。が、それは杞憂に終わりました。というのも読破の結果、フッサールの現象学はペテンである !! という結論に達したからです。以上が前回までのくだりです。

* * * * *

いしいひさいち氏によるフッサール
© 講談社

本の評価は「スモモ・テスト」で決まると以前に述べましたが、今はスモモの季節ではありませんから、代替物としてブラック・チョコ ( カカオが 70 % ) を用います。が、実際に試すまでもありません ...je connais par avance le résultat de l'épreuve 。フッサールの敗退は明らかです。本当に試していたとしたたら、腹を抱えて笑っていたかもしれません。

そもそも現象学を知りたいと思ったら、二つの問いを念頭においておかなければなりません。一つは「人間の意識とはどのような性質のものなのか... de quelle nature est la conscence humaine ? 」。二つ目は「この世について私たちは何を知っているか Que connaissons-nous du monde ? 」です。

まず一つ目から。人間は古代から「意識」についていろいろ語って来ました Voilà des millénaires ...on ne cesse de gloser sur ... la conscience... 。意識は物や事を対象に働きます。でも物や事ではなく、意識そのものを対象とすることができます。つまり意識は、意識していることを意識できるのです。たとえば体を掻いているとき、人は「掻いていることを意識できます」。が、「掻いていることを意識していることを、意識することもできます」。この「~を意識する」はどんどん付けたしていくことができます。
こうした「意識」を、人々は古来から人間の特権ととらえていました。「私」( = ルネ ) からすれば、実はとるに足らない特権なのですが la dérisoire prérogative de l'homme …。

実際のところ、からだを掻いているときに私たちは、特にそれを意識したいとも思わないし、意識してとくに良いことがあるわけではありません。意識し続けなければならないというのもしんどい話です。意識のあるなしにかかわらず、痒いときは痒いのです。猫であれば、前足をちょっと動かせば不快な痒みなど簡単に消えてなくなります ...un désagrément que, chez mon chat, un simple mouvement de la patte antérieure congé die

ところが人間は「からだを掻いている最中であることが分かっていることを、分かることができる...un être puisse se savoir se sachant en train de se gratter 」わけで、現象学の立場からすると、このような意識があるからこそ、人間は動物や物体から区別され優位にたつというのです。そして肉体や物体の決定論 (1) から免れることができると…。

でも「私」に言わせれば、そういう考えは成り立ちません ...tout ce qui précède est caduc 。だって人間は肉体の冷徹な決定論 (1) のもとに置かれた " 動物 " にほかならないのですから。

(1) たしか以前にも書きましたが、「決定論 déterminisme 」は「一定の条件がそろえば、その後なにが起きるかがわかるとする考え方 」としておきましょう…

次回は p67 の " Alors la seconde question : que connaissons-nous du monde ? からです。

© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard

2024年10月15日

中級

小川了著 刀水書房

今週は第 10 課。タイトルは「 Les tirailleurs sénégalais  セネガル狙撃兵 」です。とても重いテーマです。

「セネガル狙撃兵」というのは、1857年にナポレオン三世が植民地の人々を強制的に徴用してつくった軍隊だそうです 。後にセネガルだけでなく仏領の西・中央アフリカ Afrique occidentale et centrale に住む人々も、「セネガル狙撃兵」という名でフランスの戦争にかりだされました。

第一次世界大戦では、そうした狙撃兵が、「人類がそれまで経験したことのない近代兵器による大量殺戮の場」註 1 に送りこまれました。その数は20万人以上だったそうです。

第59回カンヌ映画祭
主演男優賞作品

その後の第二次世界大戦にも、狙撃兵は参戦しました Plus tard, ils ont été mobilisés également pour la Seconde Guerre mondiale...
またインドシナ( ベトナム、ラオス、カンボジア ) 、マダガスカル、アルジェリアなどは独立をかちとるためにフランスと戦いましたが、ここでも徴用された兵士がフランスのためにたたかいました。

* * *

テキストは、こうした歴史は蓋をされて忘れさられがちだと言います。また逆に美化されて語られることさえもあると述べています ...en France, on a tendance à parfois oublier cet aspect de l'histoire française ou bien à l'enbellir  。それはまったくフランスに限ったことではありませんが …。

2022年にはこの「セネガル狙撃兵」をあつかった映画『 Tirailleurs 』がカンヌ映画祭で上映されたそうです。
下の動画はRIF ( Radio Internatinale Française ) の番組の一部です。監督の言葉が心に沁みます。







註 1 『第一次世界大戦と西アフリカ』小川了著 刀水書房

© Hirondelle 2024 Editions Asahi



上級

今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
前回は、クレアが僕に近づいてきた時に、僕がおもわず後ずさりしたというくだりでした。そのために、クレアは悲しそうな顔をして去っていってしまいました。僕が後ずさりしたのは、クレアの影と僕の影とが重なるのをおそれたからです。
クレアとどう仲直りするか、さんざん考えたあげく、僕は影の秘密をクレアに打ち明ける決心をしました。

* * * * *

翌日、僕はクレアがいる突堤に行きました。石投げをしていますが、僕を一顧だにしません Cléa faisait comme si je n'était pas là, elle m'ignorait 。思い切ってクレアの方に手を差しのべたら、クレアは立ち上がって去っていってしまいました。僕は追いかけて、クレアのまえに立ちはだかりました Je l'ai suivie, je me suis planté face à elle

僕はクレアにむかって、僕たち二人の影を指さしました。そしてじっとしているように頼みました ..j'ai pointé du doigt nos ombres,... Je lui ai demandé de ne pas bouger 。僕が一歩横にずれると、二人の影が重なりました。そして僕がもとの位置にもどると、僕の影は髪の毛が長く、クレアの影の髪は短くなっていました。クレアはすぐに理解しました。

こうして僕は影の秘密をクレアにうち明けたのですが、クレアもまた自分だけの秘密の場所を僕に教えてくれました。廃墟となった小さな灯台です。灯台のらせん階段をのぼり、展望デッキで水平線を見ながら二人で何時間も過ごしました ...nous restons là des heures entiè à... scruter l'horizon

クレアと会って三日目のこと。クレアは手帳をもってきて「あれ、どうやったの ? あの影 Comment fais-tu ça ?... Ton truc avec les ombres 」と僕に書いて見せました。「私の影も、言葉を話さないの ? 」とも書いてきました。僕は一瞬でしたがクレアの影の声を聞いていましたから、「話すけれど、僕は影とじゃなくて、君としゃべりたい Non, je ne crois pas (que ton ombre est muette )...j'aime mieux parler avec toi 」と答えたのでした。

次回は p112 の " Je n'avais pas saisi toute l'importance, pour Cléa, de la question ...からです。

© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont

2024年10月22日

中級

北仏マイイのセネガル兵舎

今週も第 10 課の「 Les tirailleurs sénégalais  セネガル狙撃兵 」の続きです。絵画の解説を読んでみました。

アンナンの兵士

" l'Histoire par l'image " というサイト [1]  から二つの絵にまつわるテキストを読みました。一つは " Les tirailleurs sénégalais dans la guerre de 1914-1918 第一次世界大戦のセネガル狙撃兵" 、もう一つは " Les Annamites dans la Grande Guerre 大戦にくわわる安南兵 " です。

歴史的に見ると、宗主国の人はよその人の土地を武力で奪い植民します。そして自分たちの戦争のために、その土地に住んでいた先住民の人たちを兵士として戦地におくります。その一例が Tirailleurs sénégalais  セネガル狙撃兵 でした。
18世紀にはすでに、インドやセネガルの人が宗主国フランスの兵となっていたそうです。「セポイ ( インド ) 」 les Cipayes aux Indes 、「ラプトット ( セネガル ) 」les Laptots au Sénégal というのだそうです。

チアロエ : セネガル兵が虐殺された町

19世紀には、ダホメ王国 Dahomey ( 現ベナン )やインドシナ Indochine ( 現ベトナム・カンボジア・ラオス )からも兵が募られました。20世紀にはアフリカ各地の部隊がドイツなどと戦ったのでした。アルジェリア、チュニジア、モロッコ、サハラ砂漠以南の人たちの部隊でした Algériens. Marocains, Tunisiens, Africains noirs ...





セポイ、北アフリカ兵士



[1]  こちらの " l'Histoire par l'image " というサイトににはたくさんの絵画や写真の解説 ( 絵の分析と解釈 ) が載っています。美しい絵や楽しい絵もたくさんあります。とても興味深いサイトです。すべてフランス語ですが、よろしければご覧なってみてください。

© Hirondelle 2024 Editions Asahi



上級

今回は予定を変更して、先週にひきつづき『影泥棒 Le voleur d'ombres 』を読みました。前回の内容は…
僕が影にまつわる秘密をクレアに打ち明けたくだりでした。クレアもクレアだけの隠れ家をおしえてくれました。使われなくなった灯台です。

クレアは自分の影について知りたがりました。ペンとノートをもってきてたくさんの質問をしてきました。私 (=クレア ) の影はしゃべれるのか? 影とはなにを話したのか?・・・と。僕は「影とではなく、君と話したいんだけど」と答えました。

***

さらにクレアは、自分の影の声がきれいかどうかを知りたがりました " Elle a une jolie voix, mon ombre ? "。クレアは同じ年の女の子と同じように、手話を使わずに話す女の子になりたいのだということがわかりました ... Cléa rêvait de ressembler à n'importe quelle autre fille de son âge, une fille qui pourrait s'exprimer autrement que par signes 。でも僕は、クレアが他の子と違うところが好きなのです。他の女の子にないものがあるから、それが彼女をオンリーワンにしているのだと思います。

翌朝、灯台に行ってみると、クレアが見あたりません。いっこうに姿を見せる気配もありません。気をもんでいると、遠くのアイスクリーム屋で、クレアがお父さん、お母さんと楽しげに過ごしているのに気づきました。クレアと出会う前だったら、なんでもなかったのに、今は一人ぼっちなのがちっともおもしろくありません。僕は、浜辺の雑貨屋の店先にあった絵葉書をくすねて、近くのテーブルに腰をおろして手紙を書き始めました。住所がわからなくたってかまいません。お父さんに手紙をしたためはじめました。お父さんが一緒にいてくれたら、この海辺で起きたことを話せるし、どうしたらいいかをおしえてもらえるのに…って Si tu avais été là, je t'aurais raconté ce qui m'arrive... Tu m'aurais donné des conseils...

次回は p112 の " Je n'avais pas saisi toute l'importance, pour Cléa, de la question ...からです。

© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont

2024年10月29日

中級

今週は第 11 課の『 La gastronomie et la viticulture au Québec ケベックの食文化とブドウ栽培 』です。

ケベックの飲み物といえば、もっぱらビールで、ワインは輸入されていたそうです。しかし、1980 年代からブドウ栽培者が増えはじめ、近年ではケベック産ワインが急増しているとか。

vin de glace アイスワイン

ケベックのブドウの苗木は交配種で、寒さと病気につよいとのこと Ce sont des variétés de vignes issues de croisements, qui sont résistantes au froid et aux maladies 。フロントナックやマルケットといったブドウ品種が知られているようです。凍ったブドウからつくるというアイスワインは甘口らしいのですが、フロントナックやマルケットは酸味が強く渋みがほとんどないのが特徴 Ils (= les cépages hybrides comme le Frontenac ou le Marquette ) présentent une acidié forte et très peu de tanins 。そのせいでさわやかさと軽さとが生まれ、他にはない香りと味わいになっているとのことでした。ウ~ム、ミャムミャム





© Hirondelle 2024 Editions Asahi



上級

今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。
前回、「ルネさんの思索はだんだんややこしいことになってきた」と記しましたが、ややこしさが半端でなくなってきました!! なかなか面白いのですが…。頑張って読んでみましょう

前回は、「私 ( = ルネ ) 」が大きな期待をよせてフッサールの現象学を読んだものの、その期待をおおいに裏切られたというくだりでした。「意識」と「(客観)世界」とについて私は納得がいかなかったのです。まず「意識」についてです。私はフッサールをこう読みとりました。

私たちは意識をとおして外界の事物をとらえる。そして私たちは事物を意識していること自体を意識することもできる。こうした意識のおかげで私たち人間は、動物とー線を画すことができるし、さらには生物学的決定論からもまぬがれている。

・・・とこのように私は解釈しました。でも私は思います。そもそも人は動物です。ですから人間は、 ( 人以外の ) 動物同様、肉体的・物理的な決定論のもとに置かれているはずなのです。
そういう理由で、私はフッサールの考えには与しませんでした。



- - - 第五四節後半 「かなしい状況 」終わり - - -

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- - - 第六節 「 僧衣 」 - - -

次に「 ( 客観 ) 世界」についてです Alors la seconde question : que connaissons-nous du monde ? 。私たちはこの世界についてなにを知っているでしょうか。観念論者は、意識に現われてくるものしか、私たちは知ることはできないと考えています ...nous ne pouvons connaître que ce qui apparaît à notre conscience... 。現実世界のことは確証が持てないと…。
たとえば私が飼っている猫のレオンを見て、私たちはどうしたらそれが本当に猫であると断言きるのでしょうか。

普通に考えれば、まずはそのレオンを知覚します。そして概念化とか言語化とかいった働きを経て、それが猫だとわかるはずです。

でも観念論者は、そうは考えません。私たちが知覚して頭にうかべた猫、あるいは意識に現われた猫が、本当の猫であるとは断言できないと言うのです。目の前にいるのが猫だと思っていても、本当は緑色のべたべたな球体なのかもしれないのです Peut-être mon chat...est-il en vérité... une boule de glu verte ...。球なのに猫だと意識し、べとべとなのに、きれいな毛並みと感じているだけかも知れないのです。つまり私たちがこの世界について知っているものは、私たちの意識が形づくる観念だけなのです Nous ne connaissons du monde que l'idée qu'en forme notre conscience

でもそうだとしたら猫の存在はどうなるのでしょう。
頭のなかで把握した猫しか存在しないということになるとすると、現実の ( 意識から独立した世界にいる ) 猫はどうなっちゃうのかしら ?

次回は p69 の " Eh bien on s'en passe. Nul besoin du chat. " からです。

© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard