2023年1月10日
BONNE ANNEE 今年もよろしくお願いいたします。
- 中級
-
" Ulysse from Bagdad "
E.シュミット著
難民となった青年の物語今週は、ボランティアにまつわる子供新聞の記事を読みました。
カレー Calais の難民キャンプでのインタビュー記事です。大変つらい内容ですが、タイトルは 「カレー・ジャングル ( = カレー難民キャンプ ) では人権が守られていない" Les droits de l'homme ne sont pas respectés dans la Jungle de Calais "」です。
カレーには難民キャンプがあります。イギリスにわたることを望んでいる難民が一時的にカレーに滞在しています。その数は数千。子供も数百人いるとのこと。世界の医師団 ( 国境なき医師団から分かれてできた団体 ) のイザベル・ブリュアンさんは車で巡回をして、通訳の助けをかりながら診察をしています。食糧、衣類の提供もしています。残念なことですが、政治家のなかには、ボランティアを提供することで、ますます難民が来ると、活動に反対の人もいるそうです。しかしイザベルさん「それは間違いです。戦争や死に直面した人は、かならずそこを逃れようとするのですから」と述べています。
おりしも、昨日、ギリシアで (なんと)難民を救助した人たちが訴えられました !! が、棄却されたというニュースがありました。こちらはその国連人権委員会のニュースです。
© DAIWASHOBO 金井真紀著
『日本に住んでいる世界のひと』© A la page 2022, Editions Asahi
© 2022 Milan Presse - 上級
-
今週は『Le chapeau de Mitterrand ミッテランの帽子』です。
「ビューランの円柱」は、パレ・ロワイヤルの中庭に造られたオブジェです。伝統的な建築に相応しくないと、多くの批判を浴びました。ベルナール自身も反対でした。しかし考えてみれば、実際に自分の目で確かめて見たことが一度もありません。散歩ついでに立ち寄ってみれば、白黒のストライプの柱は高いのもあれば低いのもあり、それらが下に張られた水に美しく映えています。柱から柱へとぴょんぴょんと飛んでいる子供もいますし、柱の上にコインを投げて楽しんでいる観光客もいます。ベルナールは考えます。「そもそも、ここはただのパーキングだった。そのパーキングのために、皆がやっきになってこの美しいビューランの柱に反対していたとは・・・」と。
べルナ―ルはさらに足を延ばしてルーヴルまでやってきました。広場にはピラミッドの形をした鉄骨がそびえています。まだガラスははめこまれておらず、完成こそしていませんが、このビラミッドといい、ビューランの柱といい、また新凱旋門やらオペラバスチーユやら…、ミッテランの提唱する建築は、すべて反保守? 因習打破? エポック・メーキング ? … 究極のところ、もはやパンクと言ってもよいのかもしれません…。
建築現場のまわりには囲いがはりめぐらされていますが、いたるところにグラフィティが描かれています。以前のベルナールであれば顔をしかめたかもしれませんが、今日は違いました。強烈なインパクトの、予想を裏切る、活力にみちた作品群に圧倒されんばかりでした。ベルナールは、もう一度ピラミッドを眺めようと、数歩さがってみました。すると耳元で誰かが、ベルナールに語りかけます。「おぞましい建物ですな」と。実に上品な身なり紳士でした。とっさに努めて穏便に答えます。「いいえ、このピラミッドは、まさしくルーヴルになくてはならないものなのです」と。
次回は p147 " Oh ! si, j'ai compris, fit l'autre dans un croassement , avec votre chapeau noir et votre écharpe, j'aurais dû m'en douter..." からです。
© " Le chapeau de Mitterrand ", Antoine Laurain, J'ai lu
2023年1月17日
- 中級
-
今週は 14 課「ゾラ、作家にしてジャーナリスト Zola, écrivain et journalist」です。
作家としてのゾラは、『実験医学序説 Introduction à l'étude de la médecine expérimentale 』を著したクロード・ベルナールの影響をおおきく受けたそうです。ですので文学においても科学的な厳密さを重視しました Zola...apllique la rigueur scientifique à l'écriture 。そうすることで、庶民や社会の底辺の人々を赤裸々にえがき、現実社会のありさまをあぶりだして、" 自然主義 " を打ち立てたのだそうです。
一方、ゾラは社会問題にもかかわるジャーナリストでもありました Zola était aussi un grand journaliste engagé dans les débats sociétaux et politiques 。特に、反ユダヤ主義が色濃いフランスで、ユダヤ人であるドレフュス大尉が流刑にされる事件がありましたが、ゾラはこれにたいして「私は糾弾する」という記事を新聞に掲載します。これは大統領あての公開書簡でした。後にドレフュスは無罪になり軍籍にもどります。ゾラが亡くなって 4 年の後のことでした le capitaine (Dreyfus ) a été déclaré innocent, puis réhabilité quatre ans après la mort de l'écrivain 。
ゾラの遺灰は今、パンテオンに置かれています。
マネによる"エミール・ゾラ"
- 上級
-
今週は『地下鉄のザジ Zazie dans le métro 』です。
場面は変わり、テュランドのカフェ。
マド・プチ・ピエが店番をしています。電話がなり、マドが受話器をとると、ガブリエルが「マルスリーヌを呼びに行って、電話口に出してくれ」と、つっけんどんに命令します。取り込みちゅうマドは、おすおずと「できません‥.」と返事。なにしろタクシー運転手のシャルルに結婚を申し込まれている最中だったからです "....il(Charles) venait de lui proposer le conjungo "。
するとガブリエルは、「そうかい。結婚することになったからって、マルスリーヌを呼びに行くことぐらいできるだろう。なんならシャルルに行かせろ " Ça l'empêche pas d'aller chercher Marceline, si toi tu veux pas t'appuyer les escaliers. Il fera bien ça pour toi, le Charles 」と、なおも高飛車。「シャルルに電話を替われ」とも。
シャルルは、いやいやマドから受話器を受けとり、開口一番「ブヒブヒ Rrroin, Rrroin 」と豚の鳴き声で応じます。案の定、マルスリースを連れこいと、ごり押しされますが、シャルルは「おれは誰の命令も受けない " J'ai d'ordres à recevoir de personne " 」と電話を切ってしまいます。そして、マドの方にむいて、結婚の申し込みの答は、ウィかノンかとせまります。だって急なんですもの "Jvous(原文ママ) répète,...vous mdites(原文ママ) ça comme ça sans prévenir...、とマドがもじもじしていると、再び電詰が…。
「うるさいんだよ、お前は。ブヒブヒ」と話しはじめるシャルルですが、すぐに「それはそうとニュースがある。おれとマド・プチ・ピエが今、婚約した」と告げます。するとガブリエルは、しばし考えて、マルスリーヌを呼びに行かせるのは中止をして、彼女への伝言だけをシャルルにたのみます。内容はこうでした。" 観光客と一緒にザジも連れて、モン・ドゥ・ピエテに行って、オレのショーを見せる。ザジがいるので、ショーには気をつける "と、こんな伝言でした。そしてそうだ、婚約祝いに、マド・プチ・ピエとシャルル、それからテュランドも、グリドゥも招待だ。おれのおごりだと、大盤振る舞いをして電話を切ってしまいました。そこへちょうど店主のチュランドが帰ってきます。
次回は p178 " Oui mais c'est que je resterai, dit Madeleine. Je m'emmerderais à la maison,..." からです。
>© "Zazie dans le métro ", Raymond Queneau, Folio
2023年1月24日
- 中級
-
今週のテーマは、リヨン Lyon です。
リヨンといえば、有名なのが…、ローラン・モルゲが 19 世紀につくったギニョール ( 人形劇 le théâtre de Guignol )、映画の創始者のリュミエール兄弟 les frères Lumière, --- Auguste et Louis ---、星の王子様のサンテクジュペリ、サッカーチームのオランピック・リヨネ l'Olympique lyonnais 等々…。
しかしなんと言っても忘れていけないのが郷土料理。なかでもメール・リヨネーズといわれる「お母さんシェフ」のレストランです。ミシュランガイドで星をとっています "...la Mère Brazier... a obtenu trois étoiles au Guide Michelin "。もとをたどれば、裕福な人の家で料理人をしていた女性たちが自分の店をひらいたことが始まりで、18世紀にさかのぼるそうです。
テキスト曰く、リヨンに行ったら、是非ともブッション・リヨネにお立ち寄りを !! だそうです。 私はずっと、ブッション・リヨネは臓物料理をだす庶民的なレストランと思っていましたが、さてどうなんでしょう…。
© A la page 2022, Editions Asahi
- 上級
-
今週は『Le chapeau de Mitterrand ミッテランの帽子』です。
[ 右と左、保守と革新・・・。フランス革命以前には身分制の議会(三部会)がありました。右派・保守、左派・革新というのは、当時の議会の席の位置に端を発する区分です。(日本と違って?)フランスでは、今も大きな指標です。]
さて裕福な家庭を築いているベルナールは、現状を維持したいという保守層。右を自認しています。しかし FM のイニシアルが縫いとられた帽子を手に入れてからというもの、どういうわけか目から鱗が落ちたように、これまで毛嫌いしてきたものに良さを見出すようになりました。革新的なことにも目をむけるようになりました。
ルーヴルの前に建てられつつあるピラミッドをめぐって、とある紳士から、「このピラミッドを擁護するとは ! 私とは無縁の人のようですな Vous êtes de l'autre bord 」と捨てぜりふをなげつけられました。また以前ヴォノワ夫妻宅で会食したときに、仲間から「左になったのか」と詰問されたことがありました。
どうやらもはや疑問の余地はなさそうです。少くともかつての仲間の目からはそう見えているに違いありません。「地獄とは、それは他者だ」とサルトルはいいました L'enfer, c'est les autres, avait dit Sartre... 。まさしく。あのヴォノワたちこそ他者であり、視野の狭い、過去にしがみつく者たちだ…。
自分をしばっていた原則をーつ一つはぎとっていくと、身体がなんと軽くなっていくことか…。そんな気分で自宅に戻ると、妻のシャルロットが「金曜のジャン ( Djian ) さん宅の招待はなくなったわ」と述べます。ベルナールが、それは悔しいと思っていると、「とんでもないことに、ジャン ( Djian ) さん宅ではなく、代わりにジャツク・セゲラ ( 広告界の大御所でミッテラン派 ) のところに呼ばれたのよ、ああいやだ」とシャルロットが付けくわえます。次回は p151 " M.Djian s'était trompé dans son agenda, bien sûr qu'il nétait pas libre vendredi..." からです。
© " Le chapeau de Mitterrand ", Antoine Laurain, J'ai lu
2023年1月31日
- 中級
-
今週のテーマはドローン・エリオス Le drone ELIOS です。
ドローンと一言で言っても、その大きさは、数センチのものから数十メートルまでといろいろ " Il en existe de toutes les tailles, de quelques centimètres à plusieurs dizianes de mètres " 。重さも数グラムから数トンにおよぶものもあるそうです "Leur poids varie de quelques grammes à plusieurs tonnes " 。民生用のものもあれば軍事用のものもあります。
エリオスとよばれるドローンは、福島の原子力発電所での大惨事をきっかけに生まれました。2人のスイス人技師が考案したそうです " Après la catastrophe de Fukushima,... deux ingénieurs suisses ont eu l'idée de créer ELIOS 。人間には近づくことができない危険な場所に行き、検知・計測などすることができるそうです。
こうした産業用ドローンがある一方で、一般の人が楽しみのために使うドローンもあります "Pour le grand public, il y a les drones de loisir " 。自撮りをしたり、空からの映像をおさめたり…。
一方で、フランスでは、コロナウィルスが蔓延し始めたころに、警察が人々の監視のためにドローンを使ったことがありました "...la police a utilisé des drones pour surveiller la population "。マスクをしているかソーシャルディスタンスを保っているか等々を監視するためだったそうですが、反対の声が上り、国務院はこれを禁止したそうです…ハイ~ 。
- 上級
-
今週は『地下鉄のザジ Zazie dans le métro 』です。
前回につづき、場面はテュランドのカフェ。
シャルルがマド・プチ・ピエに求婚しています。そんな折、ガブリエルから電話。マルスリーヌへ取次げだの、伝言があるだのと横柄に言って来ます…というのが前回まではなし。 今回は、マド・プチ・ピエと、マルスリーヌとの何やらぎこちない、奇妙な会話が目玉です (^u^)* * * * * * *
テュランドは心配をしています。というのも結婚となると、働きもののマド・プチ・ピエがお店を辞めてしまうのでないかと… "...ça m'embête de perdre Mado. Elle travaille bien. " 。ですが、マド・プチ・ピエは大丈夫、辞めませんから、と店主を安心させます。それなら祝いにと 3 人でボージョレで乾杯 ( この間の会話は、少々いかがわしい内容でありますので省略 ) 。やがてマド・プチ・ピエは、マルスリーヌへの伝言をたのまれているから、と席を立ちます " Vous disputez pas, ...moi jvais (原文ママ) préneir madame Marceline "。
* * * * * * *
マド・プチ・ピエがマルスリーヌの家のブザーをならすと、優雅にとびらが開き、マルスリーヌが「お入りになって。グルナディヌを飲んでいっていらして " Entrez donc boire un verre de grenadine "」と誘います。しかしマド・プチ・ピエはもじもじ。マルスリーヌは、おなかに赤ちゃんがいないのでしょ、ならばグルナディヌを断る理由はないわ " Alors vous ne pouvez ps me refuser un verre de grenadine "、などと言ってマド・プチ・ピエを家に招きいれます。
グラスにグラナディヌが注がれたところで、マド・プチ・ピエがガブリエルの伝言を伝えます。曰く " 今夜、ガブリエルさんはザジを自分の店に連れていき、自分の十八番の踊りをザジに見せるつもりであること Eh bien...meussieu (原文ママ) Gabriel a téléponé qu'il emmenait la petite à sa boîte pour le voir faire son numéro...、そして私たちも婚約祝いに招待されている " という内容。
そしてさらにマド・プチ・ピエは、今夜の招待にどんな服を着ていったらいいのかマルスリーヌにアドバイスを求めます。婚約ならば、光沢のない白のドレスがいいわね、とマルスリーヌ。マド・プチ・ピエが、そんな服は持っていないとを伝えると、「ならば、パリ祭のときに着ていたあの服を着たら。深紅のジャケットに、黄色と緑のプリーツスカートがすてきだったわ Alors...dans ce cas-là pourquoi ne mettriez-vous pas votre veste amarrante avec la jupe plissée verte et jaune que je vous ai vue un jour de bal un quatroze juillet 」と優しくマルスリーヌがアドバイス。マド・プチ・ピエは、ふたたびもじもじ。そしてもじもじしながらも、そんなにおきれいなのにどうして、外出なさらないの、もっとお会いしたいのに…などと述べたので、二人の間に沈黙が流れます。
やがて、マルスリーヌが「そろそろ着替えをしないと、ガブリエルの踊りに間に合わなくなってしまうわよ " Il fautdrait...que vous alliez vous habiller...si vous ne voulez pas rater le numéro de Gabriel "」と促せば、「そうですね " Faudrait " 」とマド・プチ・ピエが応じ、腰を上げます。
次回は p183 の " Tout de même, ça me fait triste de vous laisser toute seule, dit Madelaine." からです。© "Zazie dans le métro ", Raymond Queneau, Folio