2025 年 6 月 3 日
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今週は、第十二課です。タイトルは 「 Clara Luciani, Angèle, Suzane, Chilla... ou le féminisme dans la chanson française du 21e siècle
21 世紀のフランス・シャンソンにみるフェミニズム : フェミニズムを歌う歌手たち、クララ・リュスィアニ、アンジェル、スュザヌ、シーラ 」。
パンチをくらった課でした…。タイトルにはフランスの若い女性歌手の名がならんでいます。いずれもとても重いテーマの歌を歌っています。性差別 les discriminations sexuelles やセクシュアル・ハラスメント le harcèlement sexuel 、性暴力 les violences sexuelles を、直球で、あるいは変化球で訴えています。たとえば Suzane は声を上げることのできなかった女性にかわって " J'accuse 私は訴える " ( ドレフュス事件のときのゾラの言葉ですね ) とつよく語りかけます。
変化球で歌うのは アンジェル Angèle です。ピンクの建物の前でピンクのドレスをまとったアンジェルがまずは登場しますが、展開は愉快にして破天荒。歌詞はオブラートに包んだ劇薬 ( ? ) です。こちらのクリップ でどうぞ (最初にコマーシャルが入ります… ) 。
© 『フランス史のかなの「異人」たち 2 』 朝日出版社
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今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
故郷で過ごす最後の晩、僕はソフィーと屋根裏部屋にのぼりました。満月の夜、あたりの静寂につつまれて、二人はその静かさにしばし⽿をかたむけていました。ソフィーが先に寝室にもどると、あかり窓から月の光が射しこみ、人の姿をした影があらわれました。「やっと戻ってきてくれたね」と語る影は、かつてリュックがいかに僕を助け、はげましてくれたかを僕に想いおこさせるのでした・・・と前回はここまで。***
月が傾きはじめ、影が消えようとする時、僕はあわてて影にむかってたずねました。リュックのために僕は何ができるだろうかと。「リュックこそが医学をめざすべきだったのだから、そうなれるようにしてあげてほしい ...celui de vous deux qui devait faire médecine, c'était lui. ... ...aide-le à devenir ce qu'il voulait être 」と影は言い、そのまま消え去っていきました。
ベッドに戻った僕はまんじりともせず、雨粒が屋根瓦を打つ音を聞いていましたが Je restai de longues minutes les yeux ouverts dans le noir. ... j'écoutai le clapotis de l'eau ( de pluie ) sur l'ardoise... 、いつしか寝入ったらしく、起床したのは9時でした。ソフィーも僕もこれほどよく寝たことはありませんでした。
驚いたことに、階下のキッチンからリュックと母との話し声が聞こえてきます。リュックが、早朝に焼いて窯から出したばかりのパンを、出発前の僕たちのために持ってきてくれていたのでした。ソフィーはこれほどおいしいパンを食べたことがないといいつつ、さらにクロワッサンに手をのばします。そのようすを眺めるリュックの目は実に嬉しそうでした。やがてソフィーが荷づくりに二階にあがると、僕はリュックにきりだしました。「僕と一緒に来て、医学の勉強をしないか ? 生活費は救急隊でおぎなって、住いは僕のアパルトマンを使えばいい・・・」と。しかしリュックはうなだれぎみに返します。「家業のパン屋を継がなければいけないし、やがて引退することになる父は、僕をあてにしているんだ」と。
次回は p166 の Dans vignt ans, Luc ! Ton père sera trop vieux dans vingt ans,... からです。
© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont