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Article 9. Aspirant sincèrement à une paix internationale fondée sur la justice et l'ordre, le peuple japonais renonce à jamais à la guerre en tant que droit souverain de la nation, ou à la menace, ou à l'usage de la force comme moyen de reglement des conflits internationaux. Les hommes naissent et demeurent libres et égaux en droits.

かまくらフランス語教室


備 忘 録

Les hommes naissent et demeurent libres et égaux en droits.
かまくらフランス語教室 Article 9. Aspirant sincèrement à une paix internationale fondée
備 忘 録
sur la justice et l'ordre, le peuple japonais renonce à jamais à la guerre en tant que droit souverain de la nation, ou à la menace, ou à l'usage de la force comme moyen de reglement des conflits internationaux.

2025 年 6 月 3 日

中級

今週は、第十二課です。タイトルは 「 Clara Luciani, Angèle, Suzane, Chilla... ou le féminisme dans la chanson française du 21e siècle
21 世紀のフランス・シャンソンにみるフェミニズム : フェミニズムを歌う歌手たち、クララ・リュスィアニ、アンジェル、スュザヌ、シーラ 」。
パンチをくらった課でした…。

タイトルにはフランスの若い女性歌手の名がならんでいます。いずれもとても重いテーマの歌を歌っています。性差別 les discriminations sexuelles やセクシュアル・ハラスメント le harcèlement sexuel 、性暴力 les violences sexuelles を、直球で、あるいは変化球で訴えています。たとえば Suzane は声を上げることのできなかった女性にかわって " J'accuse 私は訴える " ( ドレフュス事件のときのゾラの言葉ですね ) とつよく語りかけます。

変化球で歌うのは アンジェル Angèle です。ピンクの建物の前でピンクのドレスをまとったアンジェルがまずは登場しますが、展開は愉快にして破天荒。歌詞はオブラートに包んだ劇薬 ( ? ) です。こちらのクリップ でどうぞ (最初にコマーシャルが入ります… ) 。








© 『フランス史のかなの「異人」たち 2 』 朝日出版社

上級

今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
故郷で過ごす最後の晩、僕はソフィーと屋根裏部屋にのぼりました。満月の夜、あたりの静寂につつまれて、二人はその静かさにしばし⽿をかたむけていました。ソフィーが先に寝室にもどると、あかり窓から月の光が射しこみ、人の姿をした影があらわれました。「やっと戻ってきてくれたね」と語る影は、かつてリュックがいかに僕を助け、はげましてくれたかを僕に想いおこさせるのでした・・・と前回はここまで。

***

月が傾きはじめ、影が消えようとする時、僕はあわてて影にむかってたずねました。リュックのために僕は何ができるだろうかと。「リュックこそが医学をめざすべきだったのだから、そうなれるようにしてあげてほしい ...celui de vous deux qui devait faire médecine, c'était lui. ... ...aide-le à devenir ce qu'il voulait être 」と影は言い、そのまま消え去っていきました。

ベッドに戻った僕はまんじりともせず、雨粒が屋根瓦を打つ音を聞いていましたが Je restai de longues minutes les yeux ouverts dans le noir. ... j'écoutai le clapotis de l'eau ( de pluie ) sur l'ardoise... 、いつしか寝入ったらしく、起床したのは9時でした。ソフィーも僕もこれほどよく寝たことはありませんでした。
驚いたことに、階下のキッチンからリュックと母との話し声が聞こえてきます。リュックが、早朝に焼いて窯から出したばかりのパンを、出発前の僕たちのために持ってきてくれていたのでした。

ソフィーはこれほどおいしいパンを食べたことがないといいつつ、さらにクロワッサンに手をのばします。そのようすを眺めるリュックの目は実に嬉しそうでした。やがてソフィーが荷づくりに二階にあがると、僕はリュックにきりだしました。「僕と一緒に来て、医学の勉強をしないか ? 生活費は救急隊でおぎなって、住いは僕のアパルトマンを使えばいい・・・」と。しかしリュックはうなだれぎみに返します。「家業のパン屋を継がなければいけないし、やがて引退することになる父は、僕をあてにしているんだ」と。

次回は p166 の Dans vignt ans, Luc ! Ton père sera trop vieux dans vingt ans,... からです。

© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont

2025 年 6 月 10 日

中級

今週は、第十二課の再読です。あわせてテキストの補遺も少々読みました。補遺のタイトルは『 Yvette Roudy, première ministree des Droits de la femme " 女性の権利省の最初の大臣、イヴェット・ルディ "』です。

第十二課では、若い女性歌手たちが、性差別や性的暴力などを歌詞にして歌っていましたね。開眼でした。 Chilla さんは次のように言っているそうですよ。" ...ce combat contre l'impunité nous concerne tous, les femmes autant que les hommes : " plus que du féminisme, c'est de l'humanisme " 罰せられるべきが、罰せられないままでいること があります。そのようなことにたいする闘いは、女性だけにかかわることではなく、どの人にもかかわることです。つまりそれはフェミニズムである以上に ' ヒューマニズム ' なのです "  と…。






© 『フランス史のかなの「異人」たち 2 』 朝日出版社

上級

今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。

前回は私 ( = " パロマ " ) が、姉のコロンブとの確執を語るくだりでした。私の姉は他人をすべて敵とみなし、他人を負かさねば気がすまないたちなのですが、その他人に「あなたは強い」とほめてもらうことも必要としているという ' 面倒 ' な人なのでした。その姉が事もあろうに、私が騒音を嫌っていることを知ってしまいました。そこで、四六時中わざわざ騒音をつくって私の領域を犯しているのです…と前回はここまで。

* * * * *

姉は自分のこうした行動をかえりみないばかりか、屁理屈をつけて私をけなします。曰く「妹 ( = 私 = パロマ ) は陰気くさくて、他人を嫌い、狭量で…」云々。しかも数か月前からは、どうしたことか徹底した " きれい好き " に変身しました。憑かれたように " 秩序と清潔さ " を人に求めるのです Depuis quelqeus mois, Colombe est obsédée par deux choses : l'ordre et la propreté. 。姉の部屋は、かつては市場のように物が氾濫していましたが、今ではクリニックのような清潔さです。そして周囲にたいして、パンくずが落ちている、風呂場に毛があった…と叫んで、" 清潔と秩序 " を強要します。

どうして姉はこうなっちゃったのでしょう…。周囲の人間を踏みつぶしたいという思いが、姉を兵士に変身させてしまったのでしょうか Peut-êre qu'à force de vouloir écraser tout le monde, elle s'est transformée en soldat ... 。たしかに兵士は秩序と清潔さを必要とします。それは、戦争のおぞましさや戦場の無秩序を補うために必要なのです。





次回は p101 の " Certains récurent la chambrée, d'autres tirent au flanc, en passant le temps ... " からです。


© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard

2025 年 6 月 17 日

中級

今週は " イヴェット・ルディ " という女性にまつわるテキストを読みました。タイトルは『 Yvette Roudy, première ministree des Droits de la femme " ' 女性権利省 ' の最初の大臣、イヴェット・ルディ "』です。

イヴェット・ルディは、はやくに結婚したせいで、ようやくのこと 26 歳でバカロレア ( 大学入学資格試験 ) を受けました。後に、ミッテラン政権のもとで政治家として歩みます。学ぶことの大切さと政治にかかわることの必要を訴えていたそうです。

シモーヌ・ヴェイユとイヴェット・ルディ

フランソワ・ミッテラン政権下では ' 女性権利省 ' が創設され、その初代大臣に任命されました。彼女の名前を冠したルディ法 la loi Roudy は、 IVG ( Interruption Volontaire de Grossesse 人工中絶 )の保険適用をすべての女性が受けられるようにしたものです。また、1983年のルディ法では職業上の男女平等の原則が明確化されたそうです。' 女性権利省 ' は次のジャック・シラク政権では廃止されたそうです ヨ …。









© 『フランス史のかなの「異人」たち 2 』 朝日出版社

上級

今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。前回は...
僕は屋根裏部屋でリュックの影と語り合いました。別れぎわ、影は、リュックこそ医学を学ぶべきなのだから、そのようにしてあげて欲しいと述べて去っていきました。

翌朝、リュックがわざわざ焼きたてのパンを届けてくれました。その温かいパンをソフィーはほおばります。そしてその様をリュックは嬉しそうにながめるのでした。
帰りの荷づくりのためにソフィーが 2 階にあがっていきました。二人だけになったところで、僕はリュックに医学の勉強を一緒にしようとさそいます。しかしリュックは家業のパン屋を継がねばなりません。リュックをあてにしている父親の期待を裏切るわけにはいかないのです・・・と、前回はここまで。

* * * *

リュックは医学部ではどんなことをしているのか、さかんに僕にたずねました。ですので今度は僕がリュックに朝 3 時に始める仕込みについて話しをしてもらいました。毎日、同じ仕事をくり返しているというのに、一度として同じ作業になることはないのだそうです。気温の寒暖で発酵のスピードが異なりますし S'il fait froid, la pâte prend plus de temps à à fermenter, ... 、雨がふれば作業は長びきます ...les boulangers n'aiment pas la pluie, ça rend le travail plus long 。一気呵成にこう語ったリュックは、パン窯のある仕事場に戻っていきました。

庭では母がバラの手入れをしていました。
母は手を休め、僕たちが似合いのカップルだと言います。僕がソフィーを屋根裏部屋にいざなったことも知っていて、母もまた、僕がいなくなって寂しくなった時には屋根裏部屋に上っていたと言います Après ton départ, il m'est arrivé d'y monter. Quand tu me manquais trops, ... 。そうしゃべりながらも、僕には母が、もう少し滞在を延ばしてくれたなら・・・と語っているように思えるのでした。

次回は p170 の Je ne te reproche rien, lui dis-je. ... からです。

© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont

2025 年 6 月 24 日

中級

いよいよ最後の課になりました !! タイトルは『 Julia Kristeva, une révollutionnnaire venue de l'étranger " 異邦の革命家 : ジュリア・クリステヴァ"』です。

ジュリア・クリステヴァはブルガリア出身の文学理論家、哲学者ですが、フェミニズムにも少なからず ( 大いに ? ) かかわっています。

クリステヴァによれば、「私たちがつかう言語のなかには " 規範 " というものが隠れていて、それが女性たちの表現活動に制限をくわえている "...les normes sociales du langage limitent les femmes dans leur expression " 」のだそうです。

また女性特有の生命にかかわる機能には、生理や妊娠、出産、授乳などがありますが、こうした機能がタブー視されたり不浄とみなされることもあると言います。 "... les fonctions biologiques associées aux femmes (la menstruation, la grossesse, l'accouchement et l'allaitement ) peuvent l'être considérées comme impures ou taboues...

ところがというべきか、それにもかかわらずというべきか、その一方で社会は「母性」を理想化します。そこで女性運動家のなかには、女性を男性と同等とし、母という立場を切り離すべきと考える人もいるそうです。が、それに反してジュリア・クリステヴァは、母性が生きやすくなるような社会的条件をつくるようするのが、フェミニズムのさぐるべき道だと考えているそうです ...Julia considère que le féminisme devrait chercher à créer des conditions sociales permettant aux femmes de bien vivre leur maternité "

これにてテキストブックの終了。次回からはあたらしいテキストが始まります。どうぞお楽しみに !!




© 『フランス史のかなの「異人」たち 2 』 朝日出版社

上級

今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。
前回は、姉のコロンブをめぐる「私」のモノログ。
コロンブは一日中わざと騒音をたてて私を困らせています。私の領域をそうやって侵しているつもりなのです。私はもともと自分の頭のなかの世界があれば、それで十分なのですが・・・。

しかもコロンブは、この現実を曲解して、「私の アホ 妹は不寛容であるばかりか、神経衰弱にかかって他人を排除します、云々」と偉そうにへらず口をたたきます。

さらに、ここ数ヵ月は「秩序と清潔」に目覚めてしまいました。以前のコロンブの部屋は目もあてられない乱雑ぶりだったのに、今では、台所にパンくずが落ちている、シャワー室に毛が一本残っていた、と朝から晩まで私たちを諌めるのです。そのくせコロンブは自分が「心の平静を求めるエピクロス派の人間」だと言ってはばからないのです。

他者を圧倒したいという強い意志がコロンブを兵士のように変身させてしまったのでしょうか。兵士はつねに兵舎や身辺を整えています。戦争の醜悪さと戦場の無秩序とを埋め合わせるかのようです。コロンブの場合もそれに似ているのかもしれません。・・・と前回はここまで。

* * * *

とはいえ、兵士にかぎらず私たちはいずれ死ぬ身。戦場に出る日を待ちながら、トランプに興じたり、タバコやPQ( = Papier-Cul トイレットペーパー ) を闇で手に入れたり・・・私たちの人生に似ているかもしれません。

ついでながらコロンブのことを精神分析的に言ってみるなら、彼女は内面が空洞であると同時に飽和状態で、そのカオスゆえにかえって秩序をもとめるのだと思います ...Colombe est tellement chaotique au-dedans, vide et encombrée à la fois, qu'elle essaye de mettre de l'ordre en elle-même ...

そもそもこの精神分析って、子供でもわかりそうなことをわざわざメタファーを使って語っていますよね。母がカウセラーにかかっている時に飛びだすメタファーは、まさにその典型。" 私が過す母との生活 " はなぜか「鏡の宮殿 palais des glaces 」にたとえられ、"母のいない私の生活 " は「ジェットコースター grand 8 」にたとえられたりしているんです。

どっちにしても、コロンブの専制ぶりは、今日もいかんなく発揮されていました。彼女の緑のコートに猫の毛がついていたからです。コロンブは一体、なにを踏みはずしてしまったのでしょう。自覚があれば、コロンブはもっと生きやすくなるのに・・・。

以上
第十節後半「深い思考 No 5」 「人生は 押しなべて兵役のごとし」
終わり

* * * *

第十一節「モンゴル襲来がもたらす荒廃について」
今度はルネのモノログです

誰かがやさしくノックをします。マニュエラでした。戸口で「先生が危篤で・・・」と言います。医師のシャブロ氏のせりふをそのまま繰り返していました。
アルタン氏宅での仕事がなくなったので、マニュエラはお茶を飲みに寄ってくれたのです。マニュエラの生まれながらの言葉はポルトガル語です。ですから彼女の「お茶をのみましょ」と誘う時のフランス語は文法からするとおかしいのですが、なぜか彼女の言葉はうるわしいのです。

次回は p105 の " Laura est la fille cadette des Arthens, ... " からです。


© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard