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Article 9. Aspirant sincèrement à une paix internationale fondée sur la justice et l'ordre, le peuple japonais renonce à jamais à la guerre en tant que droit souverain de la nation, ou à la menace, ou à l'usage de la force comme moyen de reglement des conflits internationaux. Les hommes naissent et demeurent libres et égaux en droits.

かまくらフランス語教室


備 忘 録

Les hommes naissent et demeurent libres et égaux en droits.
かまくらフランス語教室 Article 9. Aspirant sincèrement à une paix internationale fondée
備 忘 録
sur la justice et l'ordre, le peuple japonais renonce à jamais à la guerre en tant que droit souverain de la nation, ou à la menace, ou à l'usage de la force comme moyen de reglement des conflits internationaux.

2025 年 5 月 13 日

中級

今週は、第九課の再読です。タイトルは 「 Simone Veil : une femme au courage inébranlable qui voue sa vie à la justice sociale 不屈の勇気をもって、社会の正義に人生をささげた女性、シモーヌ・ヴェイユ 」。
新しく次の十課も読みはじめました。ブリジット・バルドーについてです !! タイトルは「Brigitte Bardot, un ancien sexe-symbole qui lutte pour la cause des animaux かつてのセックスシンボルそして今日の動物愛護の闘志、ブリジット・バルドー 」です。

2023年のインタビュー番組によると、ブリジット・バルドーは現在 90 歳。サント・ロペに住んでいるそうです。一緒に住んでいるのはたくさんの動物たち。ブリジット・バルドーが動物愛護の運動に向かったきっかけは、家畜が無残に屠殺される現場を見たことだったそうで ...tout commence par sa découverte de la mise à mort brutale des animaux dans les aabattoirs... 、いまも自分の動物擁護団体をつくったり、メディアや大統領や政治家に直訴したり ( 訴えが要人の耳によく届くようにと、補聴器を添えて送ったこともあったとか… )と、積極的に行動しているそうです。
ただ、いろいろな新聞 ( たとえばこちらの Le Monde 紙   ) によると、ブリジット・バルドーは人種差別的発言をくりかえしていて、なんども裁判にかけけられ、そのたびに罰金刑を受けていますねえ…ウ~ム。








© 『フランス史のかなの「異人」たち 2 』 朝日出版社

上級

今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。

前回は、パロマとルネのそれぞれの独語でした。
まずはパロマから。「私( = パロマ )」の母は観葉植物にただならぬ執着をもち、土の配合から肥料のあれこれへの配慮を怠りません。もちろん娘たちに対する目配りも欠かしません。インゲンを食べるように、ビタミン C をとるように・・・と。でも、私が欲しいのは、そのような栄養はではありません。心の中にふみこんできて、胸襟を開いて心の不安を共有できたらもっといいのにと思っているのです…。

つづいてルネの独語。とある日、「私( = ルネ)」の管理人室にシャブロ氏がやってきました。アルタン氏の家庭医です。呼び鈴をならし、私がとびらをあけるや、こともあろうに「ミシェルさん」と私の名を呼んだのです。この20年、私がシャブロ氏から名前を呼ばれたためしがないというのに…。おまけに、これまで氏は私を見てみないふりをし続けてきました。ですから、もしかしたらこの目の前の人物はシャブロ氏になりすました宇宙人なのかもしれないとかんぐったぐらいでした。

しかしそのシャブロ氏が今日はいつもとはうって変わって、無惨にも鼻水を垂らし、手を震わせています。そして「アルタン氏が危篤です」と言うのでした…。と前回はここまで。

***

私は、昨朝、小山羊のようにピンピンしているアルタン氏を見ていましたから Mais je l'ai vu hier matin, il se portait comme un charme... comme un cabri 、にわかには信じることができませんでした。シャブロ氏はアルタン氏を入院をさせず、自宅で看取るとつもりだと言います。そして「アルタン氏が最期に会いたいのは子息のポールだけなのです。したがって、ミッシェルさん ( またもや私を名前で呼びました !! ) 、好しからざる人が来たら、うまく取りなしていただきたいのです」と訴えます。

…何をかくそう私は言葉の仕組、からくり、使われ方にはことの他うるさいのです。なにしろ猫の名前を『グレビス註 1 』にしようと思ったくらいですから。

「好しからざる人は、うまく取りなしていただきたい…」なんという言いまわしでしょう。単に「ポール以外の人は追いはらって」と言ってもよいのです。私はシャブロ氏のこの古めかしい丁寧な言葉遣いにうっとりしてしまいました。

しかしこれはいけません ( だって、私が文芸を愛し、その素養があることをマンションの住人には絶対に知られてはならないことになっているからです ) 。最近は、どうも気がゆるんでいるようです。先日もこのマンションの住人の御曹司が唐突にマルクスの話しをもちだしたので、ついうっかり私も「私のマルクス考」を口に出してしまうという⼀件がありました。

私は、シャブロル氏の言葉遣いにうっとりして、眼をかがやかせていたにちがいありません。シャブロ氏がけげんな様子をみせていましたので、私は慌て、ちょっとした間違った言葉遣いをしてみせました。しばし沈黙がありましたが、シャブロ氏が「それではよろしく」とあいさつし、私が「はい、どうも」とそれに答えて⼀件が落着したのでした。

以上、第十節 「グレヴィスという名の猫 」
- - - 終わり - - -

註 : Grevisse はベルギーの文法学者です。" Le bon usage " という文法書の著者。" Le bon usage " は、内容の網羅性や記述の緻密さ、たしかな典拠と例文の多さ…と、なにをとってもすごい文法書です。ただ現代は「大規模言語モデル」の時代だそうで、その意味では事情が異なってくるのでしょうか… ?



モーリス・グレヴィスとボン・ユザージュ


次回は p98 の " Pensée profonde No 5 "からです。


© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard

2025 年 5 月 20 日

<
中級

今週も、第十課 「Brigitte Bardot, un ancien sexe-symbole qui lutte pour la cause des animaux ブリジット・バルドー : かつてのセックスシンボルそして今日の動物愛護の闘志 」を読みました。併せて少々、代名動詞のおさらいも !!

ブリジット・バルドーの闘いは、" 人間がいかに自分たちの安楽のために、動物を手荒く扱っているか ...l'horrible manière dont nous, les humains, traitons les animaux pour notre confort " を人々にわかってもらうための闘いなのだそうです。自らテレビ番組をくんで、動物実験などについてかたりながら、生き物の命の大切さを訴えているとのこと。

テキストの末尾では、日本のペット販売のありかたにも言及がありましたね ...la vente d'animaux de compagnie pose problème d'un point de vue éthique





© 『フランス史のかなの「異人」たち 2 』 朝日出版社

上級

今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
前回は僕がソフィーをつれて、故郷に帰ってきたくだりです。さっそく親友のリュックに会いまに行きました。リュックは成績が優秀でしたから、彼こそが医学の道に歩むべきだったのですが、今は家業を継ぐためにパン作りの修業をしています。

リュックの目にはかつての輝きはありませんでした。僕はリュックがなにかを言い淀んでいると感じました。ですから僕はリュックの足元の影をあえて盗むことにしました。

夕食時、ソフィ―と母が、僕が真横にいるにもかかわらず、僕のことを話題にしていました。僕の子供時代について語る母を見ながら、僕は母と⼆人で暮した日々を思い起こしていました。食後、僕とソフィーは庭に出ます。穏やかな夜でした。

***

僕はソフィーをつれて屋根裏に上りました。明りとりの窓からみえる満月を、しばし二人でながめていましたが、眠気に勝てなかったソフィーは寝室に戻っていきました Le sommeil eut raison de Sophie. Elle me laissa ...

一人、屋根裏部屋に残った僕の前に、影が現われました ...devant moi, je vis apparaître une ombre...elle se hissa sur une malle 。影はスーツケースの上に腰をおろし、やっと戻ってきてくれたね、と言います。君は誰?とたずねましたが、影はリュックの話しをしはじめます。

「君が一人で淋しがっていたとき、リュックは冗談で君を笑わせてくれたよね Te rappelles-tu des moments de solitude qu'il ( = Luc ) comblait à grand renfort de blagues, ... 。君がマルケスにいじめられていたときに、助けてくれたのもリュツクだったよね 」と。そして「リュックとの友情は⼀体、どうなってしまったんだ」と僕を問い詰めます。影はリュックの影だったのです。月が少しずつ傾いていき、リュックの影もどんどん細くなっていきました。

次回は p163 の --- Attends, ne pars pas, qu'est-ce que je dois faire ? からです。

© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont

2025 年 5 月 27 日

中級

今週は、第十一課「 Jane Birkin, une devdette qui a su entourer le monde de tendresse やさしさで世界を包むことのできたスター、ジェーン・バーキン 」です。

テキストの書き出しです。「ジェーン・バーキンといえばなにを思いつくでしょう Que vous vient-il en premier à l'esprit lorsqu'on parle de Jane Birkin ? 」。セルジュ・ゲンスブールや娘のシャルロット・ゲンスブール ? あるいはエルメスのバック、バーキン ? 官能的で同時にユニセックスな女性 ?

とはいえ、これらだけにはおさまらないたくさんの側面をもっていたのがジェーン・バーキンだったのだそうです。

死刑廃止 pour l’abolition de la peine de mort 、LGBT 擁護 pour les droits des personnes LGBT 、エイズ患者支援 、アムネスティー参加、極右反対 une opposition farouche à l’extrême-droite …たくさんの運動にかかわっています。孤軍奮闘しているアニェス・ヴァルダ監督 Agnès Varda を見て、女性の家事の負担をうれい、女性の機会均等 l'égalité des chances も訴ていました。年を重ねるとともに、世の中の問題を静かに飾ることなく語っていましたね。




中絶・人権・死刑にかかわる
デモに参加するジェーン・バーキン





© 『フランス史のかなの「異人」たち 2 』 朝日出版社

上級

今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。

前回は、医師のシャブロ氏が、私に依頼があって管理人室にやってきたくだりです。氏は管理人の私を見下すかのように、徹底して私を無視してきたのですが、今日はいつもとはうって変わってまことに丁重。依頼はおおよそこんな内容です。
「アルタン氏が危篤であり、氏は御曹司のポール以外とは誰とも会いたがっていない。したがって、面会に訪れる人は多いだろうが、それらの人をうまくとりはからって追いかえして欲しい」というもの。

私は文法や言葉遣いにはとても敏感です。ですのでシャブロ氏が話すその話し方が、丁寧かつ格調高いことにしびれてしまいました。私はうっとりと呆けた顔をしていたのでしょう。シャブロ氏が自問でもするかのように「まさかこの管理人のミッシェルさんは言葉の機微やら綾やらを心得てえているのだろうか?」と思ったに違いありません。ですから私は慌てて、周囲が決めつけている「教養に欠ける管理人」の言葉遣いをして、シャブロ氏を安心させ、事なきを得たのです。シャブロ氏は「たのみます」と述べて去っていきました ( 以上、第十節 「グレヴィスという名の猫 」終わり ) ・・・と前回はここまで。


* * *

- - - 第十節後半「深い思考 No 5」 - - -
「人生は 押しなべて兵役のごとし」
( 再びパロマのモノローグです )


私 ( = パロマ) と姉のコロンブとは犬猿の仲。ほとんど戦闘状態です。というのもコロンブは「敵はつぶさない限り、自分は安全ではない Elle ne peut pas se sentir en sécurité si elle n'a pas écrasé l'adversaire 」と考えているからです。「他者のための場所がある世界は、危険である Un monde dans lequel il y a de la place pour les autres est un monde dangeruex 」とさえ考えています。なのにコロンブは、その他者を必要としています。自分の強さを認めてくれる他者がいなくてはならないからです。

ですからコロンブは手段をえらばず私を破滅させようとし、かつ同時に ( 私の喉元に匕首をつきつけて ) 私にこう言わせるのです。「私はお姉さんが大好きです。お姉さんは最高です」って。

おまけにどうしたことか、コロンブは私が何よりも騒音をおそれていることを知ってしまったのです Cerise sur le gâteau, pour une obscure raison, Colombe... ... ... a compris que ce que je redoute le plus...c'est le bruit 。私は静かさが好きです。静寂があれば自分の心の中をみることができるからです。でもコロンブはそんなことはお構いなし。

不幸なことにコロンブの部屋と私の部屋はとなり合わせです。物理的に私の領域を侵すことができない分、コロンブは音で私の領界をおかします。大音量で音楽をならし、大声で電話をかけ、どうでもいいこと ( 髪をとかすとか、引き出の鉛筆をさがすとか… ) を一々大声で言ってみる…そういうことを朝から晩まで繰り返すのです。





次回は p99 の " Mais Colombe, elle, ne se contente pas d'ignorer le fait...elle le transforme en philosophie " からです。


© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard