7月2日はお休みです。よろしくお願いいたします。
2024年6月4日
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前回につづいて最終課 『 Se connecter つながる 』を読みました。
インターネットによって人は " 良くも悪くも " つながるというお話しでしたが、次週は ① 「個人データの保護ってなあに C'est quoi, la protection des données personnelles ? 」と、② 「フェースブックは言われているほど安全ではありませんよ Facebook, un réseaial pas si ûr que ça 」、という二つののテキストを読むことにしました。
ややこしそうですが、子供新聞 !! です。まずはこれらの映像をどうぞ 。
© 2024 Milan Presse
© T'en penses quoi ? Editions Asahi
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今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。
前回は、管理人のルネこと「私」が、自分の幼なかったころを語る場面でした。
「私」は対話のない家庭に育ったせいか、自分の殻にとじこもっている子供でした。ですが、幼稚園に行った最初の日に、先生に「ルネちゃん」と名まえを呼ばれ、はじめて自分と周囲とを意識し覚醒したのでした。そして私は人に知られることなく、文字の世界に入りこみ、貪るように本を読みはじめました。他の子たちがまだ訥々としか字を読めないころのことでした。そして私は12才になり、小学校を出て、家族とともに家や畑で働きはじめました。そして17才で結婚したのでした。
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- - - 第三節「 トーテム=象徴としてのプードル」
世間の思い込みにすぎないのですが、プードルといえば、その飼い主はおおかたはどんなタイプの人か決まっているのだそうです。口うるさい偏狭な退職者か、一人ぐらしの老婦か、はたまた建物の管理人夫婦か・・・...les caniches sont des genres de chiens ...détenus par des retraités poujadistes, des dames très seules...ou des concierges d'immeuble...。
プードルは黒かアプリコット色かのどちらかです。アプリコットの方は、黒よりおこりっぽく、どちらのプードルも、ちょっとしたことですぐに吠えます ( しかし本当は…何もないときでもよく吠えるのですが… ?! ) Tous les caniches aboient ...à la moindre occasion mais spécialement quand il ne se passe rien 。飼い主には従順ですが、不細工で頭がわるく、そのくせお高くとまっているとのこと ( ルネさんの弁です… ) 。
こんなプードルに象徴されているのが管理人夫婦です。プードルと言えば管理人夫妻、管理人夫妻と言えばプードルという風に。ですが、私たち夫婦はプードルを飼っていませんでした。私はいい結婚ができたと思っています。それは、夫と一緒にいながら、私が私自身をいつわることなく私自身でいることができたからです。
私が17才の時でした。兄たちと同じ工場につとめていた人が、時々、帰りがけにお茶やお酒を飲みに私の家に寄っていました。その人からのプロポーズをうけました。とても折り目正しいものでした。
私は自分がひどく不器量なのを知っていました。しかも貧しく、知性だけはありました。だからずっと独身でいつづけることを、はやくから覚悟していました Je m'était depuis longtemps accutumée à la perspective d'une vie solitaire 。幻想もすてていました。ところがいよいよその人の結婚の意志がはっきりしてくると...lorsque les intentions de mon future mari se précisèrent ...、私は私の気持ちを正直に、真摯に、伝えざるをえませんでした。私は生まれてはじめて、自分以外の人に対して心を開いたのでした...je m'ouvris à lui, parlant pour la première fois avec franchise à quelqu'un d'autres que moi... 。
次回は p51 の " La laideur, elle, est toujours déjà coupable et j'étais vouée à ce destin tragique...からです。
© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard
2024年6月11日
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前回につづいて最終課 『 Se connecter つながる 』です。「個人データの保護ってなあに C'est quoi, la protection des données personnelles ? 」と「フェイス・ブックは本当に安全なのでしょうか Facebook, un réseau social pas si sûr que ça 」という記事を読みました。どちらも子供新聞で、こちらと、こちらで読むことができます。
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2021 年 4 月 11 日 12 日、フェースブック ( 現メタ社 )のマーク・ザッカーバーグ氏はアメリカ連邦議会の公聴会で証言をもとめられました... les 10 et 11 avril, le patron de Facebook a dû expliquer, devant le Congrès américain 。その理由は、ケンブリッジ・アナリティカという会社がフェースブック利用者の個人情報を悪用したためですが、フェースブックはそれをさせないための十分な措置をとらなかったからでした。
ケンブリッジ・アナリティカは政治家の選挙運動をたすける会社です Cambridge Analytica est une entreprise qui aide les femmes et les hommes politiques à faire leur publicité pour être élus 。膨大な数の個人情報を分析し、それを活用することで有権者の気持ちや考えを誘導できるようにしたのだそうです。トランプ前大統領も、2016年の大統領選にケンブリッジ・アナリティカをつかったとのことでした... "l'actuel" (l'ex-)président des Etats-Unis, Donald Trump, a fait appel aux services de Cambridge Analytica pour l'aider à gagner l'élection présidentielle de 2016 ウ~ム。
© T'en penses quoi ? Editions Asahi
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今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
前回は、僕が、お父さんがやってくるのを心待ちにしているところからでした。お父さんと一緒にでかけ、一日を共にすごすことを心から楽しみにしていたのでした。でも、お父さんからわびの電話がはいりました。済まない、会いに行けないと。本当にがっかりしましたが、僕以上に悲しんでいたのはお母さんでした。屋根裏にはたくさんの写真があります。僕が生まれる前の、そして離婚をする前のお父さんとお母さんの写真です。お父さんのことを知るために、僕はいつかこれをアルバムにしたいと思いました。
* * *
春がふたたびめぐってきました。陽が射すと影の心配をしなければならなくなります。とある朝、リュックをさそって登校する折り、足元をみると、その影は確かに僕のでしたのでした。頭の天辺に立つくせ毛が映っていましたから Je reconnaissais même les mèsches... ... ... j'avais des épis de blé qui poussaient au milieu du crâne... 。一安心です。
学校につくと、今まで気づかずにいたことを発見しました。エリザベスとマルケスとがすっかりなかよしになっていたのです。
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休み時間。ベンチにすわっていると、「一人ぼっちで何しているんだい Qu'est-ce que tu fais là tout seul...」と、イヴさんが話しかけてきました。「僕が、' 一生を共にしたいと思っている女の子 ' が、僕以外の男子を好きになったんだ...la femme de ma vie en aime un autre 」と告白しました。この大げさな物の言い方に、イヴさんは少し笑いをこらえていたようですが、なぐさめてくれました。間が合わなかっただけで、別の時期になれば思いは通じるかも。ようは時間の問題だ・・・と。
そんな訳で僕を悩ませている問題の一つは一応の決着はつきましたが Pour Elisabeth, j'avais trouvé des explications satisfaisantes mais...、影の問題はまだ片づいていません。陽が出るのか出ないのか、毎朝、天気予報が気になってしかたありません。人とすれちがった時に、僕の影とその人の影とが入れかわってしまう可能性が捨てきれないからです。天気予報を気にしすぎだ、とお母さんからうたがわれないようにするために、僕は理科の先生に地球温暖化の発表をすることを提案しました。
もちろんすぐにOKがでて、お母さんまで僕を加勢してくれるようになりました Maman avait même décidé de me prêter main-forte 。
次回は p87 の " Dès qu'un article écolo paraissait dans le journal, ..からです。
© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont
2024年6月18日
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今回からいよいよ新しいテキストです !! 『 Hirondelle 2024 時事フランス語 2024 年度版 』の第一課を読みました。
タイトルは Notre-Dame de Paris パリのノートルダム寺院。
ゴシック様式の構造
ノートルダム寺院の建設が始まったのは 1163 年。完成するまで 2 世紀を要しました Commencé en 1163..., la construction de l'édifice religieux a duré pendant presque deux siècles 。その寺院が、2019 年の大火で、尖塔や屋根などを消失しました。寺院には、キリストが被っていたとされる「いばらの冠 la couronne d'épines 」などの聖遺物が保管されていましたが、それらは無事であったとのこと... on a pu ...sauver les principales reliques conservées dans la cathédrale, comme la couronne d'épines 。
修復のための資材は、焼けるまえのものとおなじものを使い、建築方法ももとのやり方を再現しているのだそうです。2024 年 12 月には一般公開と礼拝が再開される予定です La cathédrale devrait rouvrir au public et au culte en décembre 2024 。
キリストが被っていたとされる冠
© Hirondelle 2024 Editions Asahi
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今週は、ミュエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。
前回は、マンションの管理人であるルネこと「私」が、兄たちの工場仲間の一人から結婚を申しこまれたところでした。
管理人夫婦というのは、決まってプードルを飼っているという根拠のない噂があるようなのですが、私たち夫婦はそんなステレオタイプのイメージの夫婦とは違っていたかもしれません。私ははやくから結婚をあきらめていましたから、プロポーズには戸惑いました。そしていよいよというときに、私は自分がどんな人間なのかを伝えました。他人に対して心をひらいたはじめての出来事でした。* * * *
プロポーズの時、その人、つまり今は亡き夫は、後にも先にもこれほど語ったことはないというくらい、長広舌をふるいました "Renée" , me répondit-il... en épuisant au gré de cette longue tirade toute la faconde qu'il ne déploierait plus jamais ensuite... 。曰く、自分はただ心の安まる伴侶が欲しい・・・そして自分自身ははまじめに働き、静かでおだやかな家庭を築くつもりだと。
事実、彼はそのようにして亡くなりました。
やせっぽちで小柄、微笑みをたやさず、一緒にいて心地よい人でした。知識人でもないし、教養あふれる人でもありませんでしたが、彼の会話からは、知識がすべてではないことが伝わってくるのでした。
ところで、私にはもう一人、自分をさらけることのできる人がいました。ベルナール・グルリエ氏です。彼には不思議と何でも言いうことができました。トルストイの小説の歴史観は決定論的 (1) よねと言ってみたり、ゴミ箱置場のとびらの蝶つがいに油をさしといてもらえるかしら Feriez bien de graisser les gonds de la réserve à poubelles 、と言ってみたり。どんな話しもすなおにできました。
彼の妻 ヴィオレットは、彼と共に、アルタン家で働いています。ヴィオレットは、執事としてアルタン家を采配し、家政婦のマニュエラやら夫のベルナールやらをあごで使っています。アルタン家が富豪であることから、何を勘違いしているのか、自分を庶民の上に立つ人間と考えています。
(1) 決定論 déterminisme は、とりあえず次のように考えておきたいと思います…。一定の条件がそろえば、その後なにが起きるかがわかるとする考え方…。
次回は p54 の " Elle n'a pas lu Marx, elle, me dit un jour Manuela ...からです。
© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard
2024年6月25日
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建築中の尖塔
© Mediatheque de l'architecture et du patrimoine / ministere de la Culture前回は第一課の 『 Notre-Dame de Paris パリのノートルダム寺院 』を読みましたので、今回は同じテーマの 子供新聞 と Radio-Cananda の記事を読みました。
フランス革命前、聖職者は政治的な力を持ち、土地や財産を占有して、腐敗もはびこっていたそうです。そのため革命後、教会は政治から切り離されます。そして教会は荒れるがままになっていました。ノートルダム寺院もワインの倉庫として使われていました ...après la Révolution française, les lieux sont en piteux état. Désaffectée, Notre-Dame sert même d'entrepôt à vin 。
尖塔の周りの12使徒
そして寺院が解体されるかもしれないというときに、ヴィクトル・ユーゴーが寺院保存のために小説を書きました。主人公はジプシーの娘エスメラルダと、教会で鐘つきをしている孤児の男カジモドです。革命前のような教会ではなく、庶民とともにある教会がえがかれ、小説は大成功。寺院が修復保存されることになりました。
ヴィオレ・ル・デュック
そしてその修復をになったのがヴィオレ・ル・デュック Viollet-le-Duc 。ヴィオレ・ル・デュックは、もともと寺院になかったものを付け加えました。尖塔 la flèche や 12 人の使徒 les douze apôtres 、ガーゴイル les gargouilles などです。実はヴィオレ・ル・デュックは 12 人の使徒一人として、12 の像のなかに紛れ込んでいます !!
以下はノートルダム寺院の公式サイトです。写真を見ることができます。" Voir " をクリックしてみてください。
© Hirondelle 2024 Editions Asahi
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今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。
前回は、「僕」がイヴさんに失恋したことを打ち明け、イヴさんに慰めてもらうという話しでした。しかし悩みはそれだけではなく、まだ他に、影のことも心配せねばなりません。今日は陽が射すのか射さないのか・・・、毎朝、僕は天気予報が気になって仕方ありません。お母さんにあやしまれないようにするために、僕は地球温暖化の発表をすることを理科の先生に提案しました。そうであれば天気を気にしたとしても、お母さんにあやしまれないからです。* * *
お母さんは、新聞の天気予報を読み上げてくれたり、切リ抜いてノートにはったり、たくさん手伝ってくれます。週末には再び満月がでると予報士の人が言っていました La dame de la météo avait annoncé la nouvelle pleine lune pour la fin de la semaine...。
好天続きでしたから、僕は学校の校庭では友達の影と僕の影とが重ならないよう注意しなければなりません。ベンチにすわっていると、再びイヴさんがやってきました。そして「君が言ったとおりやってみたよ」と言います。燃えてしまったお母さんの手紙を、記憶をたどって書きなおしたと嬉しそうに語るのでした。
ところがその時、イヴさんの影と僕の影とが交叉してしまいました... et là, à mon insu, nos ombres se sont chevauchées... 。イヴさんの影が僕にこうささやきます。
「イヴの母親は、イヴを生んですぐに亡くなってしまったから、母親の手紙なんて存在しない。燃えたアルバムに書かれていた手紙は、イヴが想像上の母親に宛ててしたためた手紙なのだ・・・」と。
僕は心底悲しくなりました。イヴさんのお母さんが早くに亡くなったからではなく、イヴさんが嘘をつかねばならなかったからです Pas à cause de la disparition précoce de sa mère , mais à cause de son mensonge 。イヴさんは架空の手紙を作りあげて、その手紙で深い悲しみに蓋をしようとしたのでしょうか。
僕はいたたまれなくなって、イヴさんには悪かったけれど、宿題があるからと言い訳をしてイヴさんと別れました。
夜、家ではお母さんが「今晩はテレビでアマゾンの森林破壊のドキュメンタリーがあるわよ A la maison, maman m'annonça qu'un documentaire sur la déforestation de la forêt amazonienne passait le soir à la télévision 」と教えてくれました。番組は森林伐採でブラジルのなまけものという動物が死んでいると言っていました。僕には決して遠い世界の話しとは思えませんでした。それから司会者は、地面や植物から水蒸気が出ていて、それを蒸発散というのだとも言っていました。
次週 7 月 2 日火曜日はお休みです m(__)m 。
次回は p91 の " La sueur de la planète s'évapore et remonte pour former des nuages ..からです。
© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont