2025 年 12 月 2 日
- 中級
-

今週も第十二課の『 Le Festival d'Angoulème アングレーム国際漫画祭 』の続きです。 ( 1 ) こちらのサイトと ( 2 ) アングレームでの体験教室のテキストとを読みました。
2026 年の次のアングレーム国際漫画歳は中止になりました。11 月 2 日にそう発表されました。今回読んだ ( 1 ) の記事はその前に書かれた記事ですので、タイトルは Festival d'Angoulême : l'édition de 2026 sera-t-elle annulée ? (2026 年のアングレーム国際漫画歳は中止になるのでしょうか ? )です !!

中止を呼び掛けているのは主に漫画家の人たち自身だそうです。理由は組織の不透明な会計処理などがあるようです。経済的には町にとっておおきな打撃ですが、それでも「この催しが健全になって誰もが平等に参加できるようにするためには、一度、開催を見直した方がよい On espère vraiment une remise à plat du fonctionnement et l'organisation du estival... ... "」と述べている書店員さんがいましたね !!

© 『時事フランス語 2025年度版 Hirondelle 2025 』 朝日出版社
- 上級
-

今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。前回は…
アリス ( 上の階に住む老婦人 ) は口達者です。しかし僕は、彼女がその発言とはうらはらに、実は子供たちと疎遠であることに深く傷ついていることを知りました。そう知ったのは僕の影とアリスの影とがたまたま近づいたからでした。
3月になり、救急棟の天井にアスベストがふくまれていることが発覚。しばし救急外来が閉鎖されることになりました。これ幸いと僕は母に電話をかけ、会いに行けると伝えました。しかし母は養生のために前々から友人と南仏に出かけることになっていると、申し訳なさそうに伝えるのでした。母との再会がまたも延期になりました。
そしてとある晩のこと。僕はリュックの試験勉強を手伝っていました。しかしリュックの頭は飽和状態。教科書を投げつけ、こんな所にいたら身体が破裂するとわめきます。その困乱ぶりは僕を心配させるほどでした…と前回はここまで。
* * * *
リュックにはしばしの気分転換が必要なのかもしれません...... je conclus que mon ami avait vraiment besoin de prendre l'air "。
リュックが懇願します。「海が見たい、果てしなく広がる水平線が見たい…救急隊員の給料はわずかたけど、レンタカーもホテルも僕が払うから、海に連れていってくれ ...c'est moi qui régale, mais je t'en supplie, emmène-moi à la mer. 」。
その時、ソフィーが.やってきました。
外まで届くリュックの大きな声のせいで、週末に僕たちが海に行くのかもしれない…と察したようです Tu pars à la mer ce week-end, si j'ai bien compris ? ...Luc beuglait tellement qu'on l'entend depuis l'escalier "。ソフィーとしては僕との二人だけの週末を念頭においていましたから、のっけから機嫌がよくありません。僕とソフィーとのあいだに穏やかならぬ空気がただよいます。リュックは突如、ソフィーの足元にひれ伏します。そしてこうまくしたてます。「君たちが二人で一緒にいたいのは知っている。だけどこいつ ( = 僕のこと ) は、今、僕の命を救おうとしている ...je sais que tu aurais voulu passer ces deux jours avec lui, mais il était sur le point de me sauver le vie... 。僕は、このままでは本に押しつぶされて、窒息死する。窒息死する人を助けずして、医学はなんの役にたつのか ?
海にいったら、僕は透明人間になる ...sur la plage...vous ne me verrez pas, je serai invisible 。二人を邪魔しない。だから二人だけの週末を楽しめる。ホテル、車、ガソリン、全部、僕がもつ…」。ソフィーはひれ伏すリュックを立たせて承諾します。そのかわり海から戻ったら、お手製のショケットを作ってよ、とリュックに約束をとりつけていました !!

次回は p211 の " Tu aurais vraiment renoncé à ce week-end si... " からです。
© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont
2025 年 12 月 9 日
- 中級
-

今週は第十三課の『 Les matièeres scientifiques et les femmes 理系分野と女性 』です。
日本に限らず、フランスでも理数系にすすむ女性は少ないそうです。その理由は、女性は理系に向いていないという世間の思い込みと、女性自身が自分の能力に十分な自信を持っていないからとのこと ...les jeunes femmes ont moins confiance en leurs capacités ... Elles sont victimes du préjugé selon lequel les filles ne sont pas faites pour les sciences... 。
E.ラブレスと解析マシーン♦マリー・キュリーは、放射能 la radioactivité を発見、
♦ロザリンド・フランクリンは、ADN の二重螺旋構造 la structure hélicoïdale de l'ADN を解析、
♦エイダ・ラブレスは、はやくも 19 世紀に初のコンピュータープログラム le premier programme informatique を考案、
♦数学者のキャサリン・ジョンソンは、NASA で有人宇宙飛行計画 ( マーキュリー、アポロ11計画 ) の軌道計算 les calcules des trajectoires du programme Mercury et de la mission Apollo 11 を実施…( サイエンスの ) 歴史をかえた女性たちは、語られることが少ないながらも、たくさんいるのですね。2 月 11 日は「科学分野のための国際女性デー Journée internationale des femmes et des filles de sciences 」 に定められているのだそうです ヨ 。
Nasa で研究するキャサリン・ジョンソン
© 『時事フランス語 2025年度版 Hirondelle 2025 』 朝日出版社
- 上級
-

今週は、ミュリエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。
前回は、まずはパロマの『運動日誌』とミラーニューロンをめぐる独語。続いてルネが、医者のシャブロ氏からアルタン氏の死の知らせを聞くくだりです。
まずはパロマの『運動日誌』から。ミラーニューロンは、他者の動きを見ている時に、神経細胞がはたらいて、自分も同じ動作している気分になることだそうですが、「私」( = パロマ ) が不安に思ったのは、ミラーニューロンがまさか文学を読んでいる時にも働いてしまうのではないか、ということ。この世の運動をミラーニューロンを介してしか味わえず、しかもこの世の運動が ( あの飛び込み競技のような ) 失敗ばかりだとしたら…この世にとどまる理由がなくなってしまいます。
続いてルネの独り言。医師のシャブ口氏がアルタン氏の訃報を告げにやってきました。そして葬儀屋の対応をして欲しいと頼みます。「もちろんです」という私の返事に、シャブ口氏はこの20年で2回目の「ありがとう」を口にしました。私は単に「どういたしまして」と返答すればよかったのですが、死というものを前にして、私の鎧が落ちてしまったのか、通り⼀遍の返事ができませんでした。そして口をついて出てきたのが『戦争と平和』の⼀節でした。クトゥーゾフ将軍が自らの境地を語った美しい一節です・・・と前回はここまで。* * * * *

シャブロ氏はうなずき、静かに去っていきました。しかしその後、私の心は暗く沈んだままでした。
ところがそんな折、どこかの家からピアノの曲が流れてきて、深く沈んだ私の心を救い出してくれました。まさにあの小津の描いた苔寺の庭に落ちている⼀輪の椿を想いおこさせる⼀時でした。
- - - 以上、 第十四節「その時、古き日本が」終わり - - -
* * *
- - - 第十語節「富める者のつとめ」 - - -
ひきつづきルネの独語です文明は、霊長類を調教し、その暴力性を抑制させました。「こけの上に落ちた椿」を愛でることを学んできているからです。でも私たちはまだ霊長類であり続けています。ですから私たちがもっている暴力への衝動は、絶えず、「椿を愛でる心」でガス抜きされねばならないのです。それこそが教育なのです。
© Encyclopaedia Britannica, Inc.私は不公平な運命のなかに育ちましたから、もしかしたら反抗をし暴力に訴えていたかもしれません。でも今、私がこの管理室にとどまっているのは、私が「苔のうえの椿」そのものになったからに違いありません。
次回は p128 の " Mais l'école fit de moi une âme que la vacuié de son destin..." からです。
© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard
2025 年 12 月 16 日
- 中級
-

今週も第十三課の『 Les matièers scientifiques et les femmes 理系分野と女性 』の続きです。ふたつの子供新聞の記事を読みました。 ( 1 ) こちらのサイトと ( 2 ) こちらのサイト です。
( 1 ) は映画『 Les figures de l'Ombre 邦題:ドリーム 』について語った記事です。語っているのは、フランスの宇宙飛行士クロディー・エニュレ ( わざわざ " 女性の "とはつけないことにしましょう
) です。
この映画は 1960 年代に NASA で働いていた 3 人の数学者の実話です。女性であるばかりか黒人でもあったために、たくさんの理不尽な差別にさらされます。しかし数学者としての実力は確かです。彼女たちがいなければ、フレンドシップ 7 ( 有人の地球を周回した宇宙船 ) やアポロ計画などは成功しなかったと言われています。私も、この映画、見てみたいと思います !!


© 『時事フランス語 2025年度版 Hirondelle 2025 』 朝日出版社
- 上級
-

今週は『影泥棒 Le voleur d'ombres 』です。前回は…
リュックが、医学部の定期試験の準備に追われて、頭も身体も飽和状態になってしまったくだりでした。週末、海に連れていってほしいと僕に懇願します。
そこへ僕と二人だけで週末を過ごすことを楽しみにしていたソフィーが登場。リュックはソフィーの足もとにひれ伏して、費用は全部もつし、僕とソフィーとの邪魔は⼀切しないから、⼀緒に海に来て欲しいとたのみます。ソフィーはあきれ顔で、ひざまづいているリュックを立ちあがらせて海行きを受諾・・・と前回はここまで。* * * *

リュックは、町で⼀番安いレンタカーにちがいないと思われるステーションワゴンを見つけだしてきました Luc avait sans nul doute réussi à dénicher la voiture de lacation la moins chère de la ville 。ソフィーが乗るのをためらうほどのポンコツ。リュックがハンドルをきるたびに車は大きくかたむき、後部座席のソフィーは、そのたびに右の窓へ左の窓へとスライド。吐き気を催したことはいうまでもありません。僕はといえばまどろむばかり。
5時間後にはホテルに到着したのですが、これまた車と同じくらい古ぼけたホテルでした Il ( = Luc ) gara la voiture devant la façade d'un vieil hôtel aussi décrpi qu'elle ( = la voiture ) 。受け付けの支配人も相応の年。僕らの部屋以外は満室。理由は、近在の老人ホームが免許をとりけされたため、このホテルが行き場のないお年寄りを引をうけたのこと。
お年寄りたちは、新しくやってきた僕たちに興味津々。支配人がちょっと通してちょうだいと言うほどでした。ソフィーは一人一人に笑顔をふりまきます Sophie distribua sourire sur sourire à chacun d'eux 。あてがわれた部屋に着けば、ベッドは 2 つのみ。恐縮するリュックに、ソフィーがリュックの肩に手をのせ、「海を見に来たのだから、海が見れれぱ十分」と優しい言葉をかけます。
次回は、p216 の " Aucun, marmonnai-je en lui donnant'un coup de coude... " からです。
© " Le voleur d'ombres ", Marc LEVY, Edition Robert Laffont
2025 年 12 月 23 日
- 中級
-

今週は第十四課の『 Le prix Shibusawa Claudel 渋沢・クローデル賞 』です。
ポール・クローデルは作家ですが、外交官でもありました。1893年にニューヨークに渡ったのをかわぎりにボストン、プラハ、フランクフルト…他にもたくさんの地に赴任しています。中国には 14 年も滞在していたそうです。そして日本の大使になったのは 1921 年から 27 年まで。一方、渋沢栄一は幕末にパリ万博のためにフランスにわたり、欧州各国を訪問しています。

この二人が 1924 年に日仏にかかわる研究機関として日仏会館を設立しました。そしてその 60 年後に、この二人の創設者の名をとった " 渋沢・クローデル賞 " がつくられました。この賞には、日本側の賞とフランス側の賞 " le prix sélection française " とがあるのだそうです。というわけである年には、日本語による " フランス人画家シャルダンについて " の研究と、フランス語による " 14 世紀の東シナ海にかかわる " 論文という日仏双方の著作が受賞をしているのだそうです。
養育院幹事の田中太郎と渋沢栄一
© 『時事フランス語 2025年度版 Hirondelle 2025 』 朝日出版社
- 上級
-

今週は、ミュリエル・バルベリ Muriel Barbery の『優雅なハリネズミ L'élégance du hérisson 』です。
前回は、「私 ( = ルネ ) 」が、「富める人が果たすべきつとめ」について、確信していることを述べはじめるくだりでした。
「私」は考えます。かつて霊長類であった人間は、文明をもつことで自分たちに内在する暴力性を抑制できるようになったと。だからといって、暴力性が完全に消えたわけではなく、その衝動を抑えることができるものがあるとすれば、それは「教育」です…と前回はここまで。* * * * *

私は恵まれた環境には生まれませんでした。その不公平な出自にたいして、暴力をもって反抗していたかもしれません。しかしそうはしませんでした ...j'aurais pu choisir la révolte...puiser dans les ressources de violance... 。教育のおかげです。ことばを覚えて、本を手にしました。これは人間がもつ暴力的な本性にあらがうことのできる最強の武器です。
ところがです。そのようなものを手にしているのにもかかわらず、私はアントワーヌ・パリエがやってきたときに手荒く対応してしまいました。彼は金満家の息子です。私がドアを開けるや、挨拶もせずに自分のキックボードが盗まれたとまくしたてたのです Antoine Pallières...sans me saluer, entrepris avec une vindicte faconde de me narrer la disparition de sa trotineete chromée... 。私は彼の鼻先でドアをバタンとしめてしまいました。
「風のせいで…」などといってもう一度開けてみると、彼は一体なにが起こったのかわかりかねている様子で、ぽかんとして立っていました。

次回は p129 の " La Faculté que nous avons de nous manipuler nous-mêmes..." からです。
© " L'élégance du hérisson ", Muriel Barbery , Editions Gallimard

